2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
BRENDLE Jorg 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (70301851)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数学基礎論 / 集合論 / トポロジー / 測度論 / 強制法 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度は、実数全体の部分集合を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、反復強制法などの集合論の最先端の技法を用いることによって、自然数の部分集合からなる、極大のほとんど交わりがない集合族(mad families)や自然数上の極大フィルター(ultrafilters)などの極大性条件を満たす実数の部分集合に焦点を絞って研究を行った。主な研究実績は下記通りである。 (1)閉集合族から構成されたmad familiesについて研究を行った。closed almost disjointness number a(closed)を、その和集合が無限なmad familyとなるような閉集合の族の最小の濃度として定義する。Khomskiiとの共同研究で、a(closed)<bの無矛盾性の証明を出来上がり、余解析的なmad familyの存在がb>aleph_1と無矛盾であることを示すことによってもとの研究計画調書の問題4を解き、共著論文を完成した。また、Raghavanとの共同研究で、a(closed)>b の無矛盾性を強制法の二つの異なる反復法で証明し、splittingと密接に関連する、s=aleph_1より強い組合せ論的原理のもとでa(closed)=aleph_1となることを示し、研究計画調書の問題1と関連する問題を答えた。 (2)極大フィルターのジェネリック存在について研究を行った。極大フィルターのクラスがジェネリックに存在するとは、全てのcより真に小さいフィルター基をもつフィルターがそのクラスに属する極大フィルターへ拡大できるときをいう。Flaskovaとの共同研究で、密度ゼロ極大フィルターや総和可能な極大フィルターなどのジェネリック存在を特徴づける基数不変量を他の基数不変量と比べ、いくつかの大小関係に関する独立性結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Toernquistが余解析的なmad familyとSigma^1_2 mad familyの存在が同値であることを示したため、mad familiesについての記述集合論の観点からの研究が当初の計画通りできた。Mad familiesについての組合せ論的集合論の観点からの研究もおおむね計画通り進展しているが、「a(closed)=a(Borel)であるかどうか?」や「a(Borel) geq hであるかどうか?」などの重要な問題が未解決のまま残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
強制法の理論をはじめ、組合せ論的集合論、記述集合論、トポロジーや測度論などの数学の分野の最先端の技法を用いて、下記の問題の解決に焦点を絞って、極大のほとんど交わりがない集合族(mad family)、極大の独立な集合族(maximal independent family)、極大フィルター(ultrafilter)やギャップ(gap)に関連する基数不変量についての理解を深めて行く。また、それらの極大性条件を満たす集合族の射影的階層における定義可能性についての研究も行って行く。 Borel independence number i(Borel)を、その和集合が無限な極大の独立な集合族となるようなボレル集合の族の最小の濃度として定義する。i(Borel)のほかの基数不変量との大小関係を調べる。例えば、i=i(Borel)かどうか、i(closed)=i(Borel)かどうか、などの未解決の問題について研究を行う。 また、自然数全体をmad familyから生成されるイデアルで割った商構造を組合せ論的集合論や強制法の理論の観点から調べる。特に、その商構造のdistributivity numberと古典的なdistributivity number hの大小関係について研究を行う。 さらに、「ZFCのもとでPi^1_2 mad familiesが存在しないことが無矛盾であるかどうか?」などのmad familiesの定義可能性についての問題の解決を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実数の集合論や強制法の理論などについては世界的に研究が行われているため、海外の指導的研究者との意見交換や討論、特に、共同研究は必要不可欠である。そのため外国旅費に重点をおく計画である。現在の主な研究打合せや研究の成果発表の予定は下記通りである。 7月:KGRC(ウィーン)で行われる研究集会「Sy Friedman's 60th Birthday Conference」にて招待講演及びKhomskii、FischerなどのKGRCの研究者との共同研究。Evora(ポルトガル)で行われる国際会議「Logic Colloquium」にて招待講演。 9月:島根大学で行われる国際会議「International Conference on Topology and Geometry」にてTodorcevic、Hrusakなどの参加者との共同研究。広州(中国)で行われる国際会議「Asian Logic Conference」にて招待講演。 1月:MFO(Oberwolfach、ドイツ)で行われる研究集会「Set Theory」にてVelickovicなどの参加者との共同研究。
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Research Products
(9 results)