Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではテンソルの階数,主としてテンソルの典型階数について考察した. 前年度までの研究で, サイズ(m,n,p),3=<m=<n,3-テンソルの典型階数について, p=(m-1)nの場合に,m=<r(n)のとき2つの典型階数p,p+1を持ち, m>r(n)のとき唯一の典型階数pを持つことを示していた. ここでr(n)はHurwitz-Radon関数である. また, いくつかの(m,n,p)の組に対して絶対列充足階数テンソルの概念を用いて複数の典型階数を持つことを示していた. 平成27年度では(m-1)(n-1)+2=<p=<(m-1)nの場合への拡張を考察し, 次の結果を得た. (1) m,n>=3,(m-1)(n-1)+2=<p=<mnの場合RmxRn から(mn-p)次元ユークリッド空間R(mn-p)への正則な双線形写像が存在することが複数の典型階数をもつ必要十分条件である. (2) m,n >=3, k>=2, (m-1)(n-1)+k=pのときに典型階数を完全に決定した. (3) m,n >=3, (m-1)(n-1)+1=pの場合に対して複数の典型階数の存在する条件を与えた. また行列-テンソルの正規分布の平均の片側検定についても岩佐氏との共同研究で考察した.27年度は,(4)行列正規分布の平均Mについて片側検定問題H:AMB=0 vs K: AMB >=0に対して、分散行列(ΣとΨのクロネッカー積)のΣ未知, Ψ未知の場合にsimilar検定を導いた.これは前年度のΣ未知, Ψ既知の場合の拡張を与えたものである. さらに, (5) 最終年度のまとめとなるテンソル(高次元配列)データ解析の理論と応用の2冊の書籍を出版した.
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