2012 Fiscal Year Research-status Report
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24540132
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
末竹 千博 大分大学, 工学部, 教授 (80353241)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 一般アダマール行列 / 横断デザイン / 対称横断デザイン / クラス正則対称横断デザイン / 有限射影平面 |
Research Abstract |
(1) uが素数でない素数pのベキqであるとき, コセット型一般アダマール行列GH(q,λ)の構造についての研究はここ一年始まったばかりである。筆者は安東正和氏とコセット型GH(4,6)を分類した。それらは, 同値を無視して9個ある。(現在これが正しいかどうか再チェックしている)作用する全自己同型群のタイプは3種類あるように思える。最近その中の一つのタイプについて, 群作用が明確にわかるようにGHの形を決めることが出来た。このGH Hに対応する対称横断デザインのパラメータはSTD_6[24;4] Dである。(Dの点の総数は24×4, 各ブロックサイズは24, 2点を通るブロックは丁度6個かまたは0個, この双対構造も同様な性質を持つ) Dの全自己同型群Gの位数は12×4である。興味深いのはGがDの点上半正則に作用するが, ブロック上半正則に作用しないという事実である。(この事実は他の例共々(2)で一般論に進化した)ともかく, このHは一般的な記述がされる。そのパラメータはGH(4,2r)(rは素数)である。今後rが5,7,11,13で具体例があるかどうか, そして無限系列があるかどうか調べたい。 (2) 群論に詳しい研究者達は点とブロック上に正則に作用するデザインを様々なデザインについて研究している。筆者は昨年度の初めから, 点上正則であるがブロック上正則でない自己同型群を持つクラス正則正則(あるいは半正則)対称横断デザインの研究を開始した。最初の具体例はクラス正則STD_4[12;3]である。(対応するGHはGH(3,4)である)これまでの一般アダマール行列の研究者達は幾何的な視点が不足していたためこの事実に気づかなかったように思われる。昨年の暮れ, 筆者は点正則自己同型群を持つ(ブロック上正則でない)GH(p,p+1)をすべてのメルセンヌ素数pに対して構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) コセット型GH(4,6)の分類について, コンピュータによる計算に誤りがないかどうか現在チェックしている。計算量が多いので, 計算を速めるアルゴリズムが必要であるが, 出来ていない。非同値なGH(4,6)は当初10個であることを確認したが, 10個目の計算に誤りあることがわかった。従って, 非同値なGH(4,6)は9個であることが予測される。全自己同型群の正確な記述をすることを試みている。全自己同型群の位数は, 24,48,80の3通りである。全自己同型群の型も3つであるように思える。2番目の型が有限体を使って一般化出来るかも知れないと思い, 全自己同型群の正確な記述をした。これにより対応するGH(4,6)の形を群作用がわかるように書けた。この形はある一般化を予測させる。一般化を視野において出来るだけ沢山のGH(4,2r)(rは素数)を計算するつもりでいる。 (2) GH(3,4)に対応するクラス正則対称横断デザイン STD_4[12;3]の自己同型群を調べる中で, 非常に興味ある事実に気づいた。すなわち, この対称横断デザインは点正則であるが, ブロック上正則でない自己同型群Gをもつ。このことはSTD_4[12;3]が群Gで表現出来ることを意味する。そこで仮定を緩めて, 次の問題が考えられる。点上半正則であるが, ブロック上半正則でない自己同型群を持つクラス正則対称横断デザインの研究をせよ。この研究は一般アダマール行列の研究にどれだけ寄与出来るか。昨年の暮れに対応するクラス正則対称横断デザインが正則自己同型群を持つ(ブロック上正則でない)GH(p,p+1)をすべてのメルセンヌ素数pに対して構成した。同じパラメータを持つGHはT. Fengによって2009年に構成されており, 彼のGHとの関係を調べる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) コセット型GH(4,6)の形の決定については, 全自己同型群の点クラスたちとブロッククラスたちの上での作用の仕方がわかっているので, 時間をかければ解決可能である。従って, GHの一般化された形についても予測出来るであろう。有限体を使って特徴づける方法は色々と自由度があって, 卓越した見方と辛抱強い多くの計算が必要である。なお, 最近GH(4,5)が存在しないことを示した。これは de Launey の予想の反例であり, 何故このようなことが起こるのか考えるのも興味がある。EA(4)上のコセット型GHの研究とも関連がある。よりSTDとしての基本的な見方が必要なのかも知れない。ともかく計算機の助けが必要である。 (2) 点上正則自己同型群を持つクラス正則対称横断デザインの研究は, 平峰豊氏の助力を得て点正則自己同型群を持つクラス正則双対横断デザインの研究に発展した。前者には一般アダマール行列が対応し, 後者には差行列が対応する。最近平峰豊氏との共同研究で, 奇素数pに対して, q=2p+1が素数ベキであるとき, (Z_p,(p-1)q/2,q)-差行列を構成した。この結果は従来知られた差行列と較べてみても行数が飛躍的に多く良い結果である。今後, 平峰豊氏(熊本大学)と緊密な連絡を取り, この研究を進めて行きたい。また, 海外での有限体の研究集会(2013年7月ドイツのマグデブルクで開催)にも出席し研究成果を発表し, 外国の研究者とも情報交換をしてより良い研究に発展させたい。研究費の多くは(1)で述べた計算速度の速い計算機の購入と研究打ち合わせのために使いたい。また現行の研究成果の最新情報(過去の研究成果も含めて)を知るため,専門書の購入, 論文の入手したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(3 results)