2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
井上 潔司 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (10384653)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 統計的分布理論 / 信頼性工学 / 離散分布論 / 統計的推測理論 |
Research Abstract |
平成24年度は主に「非サイクル有向グラフ上の分布理論とその統計的応用」を主テーマとして,研究に取り組んだ.非サイクルグラフ上の分布理論は,重要な応用分野と密接に関わっているにもかかわらず,未発展の研究分野であり,方法論的にも未整備である.そこでまず,「マルコフ世代付き非サイクル有向グラフ」を提案し,理論構築することから始めた.これは,非サイクル有向グラフ上の各頂点にマルコフ依存性を持った{0,1}-値確率変数を配置したモデルである.このモデルにおいて,連・スキャン統計量の厳密分布を考察した.従来,線形理論に用いられてきた条件付き確率母関数の方法が高い柔軟性と機能性を備えていることに着目し,グラフ上で適用可能な形式に拡張することで,分布導出方法の提案を行った.その際に,条件付き確率母関数を未知関数とする方程式系を解析する必要が生じる.グラフ上においては、多くの場合,方程式系が非線形かつ大規模なものとなるため,数式処理を利用した方程式系の自動生成・解析システムをあわせて構築した.これら理論的結果により,信頼性モデルの提案が可能となり,より複雑なモデル解析が可能となった.例えば,consecutive-k-out-of-n:F システムやk-within-consecutive-w-out-of-N:F システムの信頼性を厳密に求めることが可能となった.また,各コンポーネントに種々の寿命分布(指数分布,ワイブル分布,パレート分布)を仮定した連続時間モデルの解析も可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究は,「非サイクル有向グラフ上の分布理論とその統計的応用」をテーマとし,特に理論構築に重点をおいて研究をすすめてきた.「マルコフ世代付き非サイクル有向グラフ」の提案にはじまり,連・スキャン統計量の厳密分布導出方法の提案を行った.さらには,数式処理を用いての分布導出アルゴリズム開発までを行い,予定していた内容はおおむね達成できたものと考えている.ここでは,Type Iの数え方を採用し分布を考察してきたが,提案した方法論を少しの修正によって,Type II,Type IIIの数え方のもとでも厳密分布の導出が可能であるという見通しが立った.また,提案したモデルでは,各確率変数の取りうる値を2値({0,1}-値)系列として考察してきたが,各確率変数の取りうる値が多値({0,1,...,m}-値)系列としても考察可能であるという発展性も研究過程において期待が持てるようになった. しかしながら,想定していたサイズのグラフにおいて,分布導出は可能ではあったが,少し大きなサイズのグラフでは,大規模な計算が伴うため,対応困難であるという課題に直面した.そのため今後は,計算機上での実行可能性を意識しながら研究をすすめていく必要がある.統計的分布論の研究を,数学・統計理論,数式処理,計算機実験,数値解析といった手法を総合する形で進めることを念頭に置き,計算機上で解析可能な理論結果の導出を考えていく.理論的な結果と計算機を用いた数値的・代数的研究を接近させ,方法論を計算機上で開花させるようなアルゴリズムの開発を行うことを念頭に置き,統計的分布理論の更なる発展に貢献して行く予定でいる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究過程において,多くのパラメータを持つモデルについても考察が可能であるという見通しが立ったので,今年度以降は,より複雑なモデルを仮定しての分布理論展開を計画している.それによって,より柔軟なモデリングが可能になり,工学的応用問題の解決につながることが期待できる.たとえば,従来の信頼性工学では,各コンポーネントが同一の故障確率を持つことを仮定してきた.より一般的に,コンポーネントごとに故障率が異なっているようなシステムを考え,このシステムの信頼度の厳密評価へとつなげていきたい.グラフ上での分布理論展開には,大規模な計算が伴うので,数式処理システムを用いたシンボリックな計算および数値計算も多用しながら進めていく予定でいる.さらには,システム上での様々な統計的推測問題を考察する.様々なタイプのデータに基づいての故障率の推定や,各コンポーネントに種々の寿命分布(指数分布,ワイブル分布,パレート分布)を仮定した連続時間モデルにおけるパラメータ推定を行う.また,種々の変化構造を仮定した信頼性モデルにおいて,情報量基準を用いてのモデル選択問題を扱う.尤度比を用いた統計的仮説検定問題もあわせて考察する. この研究に見通しが立てば,multi-state に基づいて構成される工学的システム,たとえば,consecutive k1,k2,...,km-out-of-n:MFM System の信頼度の厳密な計算への展開に期待が持てる.応用分野を拡充することで,あらたな理論展開へと発展させ,理論面と応用面とで好循環を生み出す可能性があると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)