2012 Fiscal Year Research-status Report
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24540142
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Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Research Institution | Chuo University |
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Principal Investigator |
只木 孝太郎 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70407881)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | アルゴリズム的情報理論 / アルゴリズム的ランダムネス / 統計力学 / partial randomness / 相転移 / ChaitinのΩ / 不動点 / ランダムネス |
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| Research Abstract |
これまでの研究で私は、アルゴリズム的情報理論と統計力学を密接に関係付ける「アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈」を創始した。現在、私は、それに基づいて、新しい科学を創設しようと試みている。本研究課題は、この全体構想の実現のための一環である。
私がこれまでの研究で行った、圧縮率に関する不動点定理の証明を通じて、アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈における熱力学的関係式の重要性が、既に明らかになっている。平成２４年度は、この熱力学的関係式を手掛かりとして、アルゴリズム的情報理論と熱力学との形式的対応を、更に追及した。特に、アルゴリズム的情報理論におけるルジャンドル変換の持つ数学的性質を使用し、圧縮率に関する不動点の新しい性質を明らかにした。平成２４年度は、このようにして、アルゴリズム的情報理論におけるルジャンドル変換の持つ数学的意味について、理解を深めた。
統計力学はカオスと極めて深い関係にある。ニュージーランド・マッセイ大学のElena Calude博士は、本研究課題の推進のために必須であるカオス理論と計算可能性理論および理論計算機科学との関わり合いに関する専門家である。平成２４年度は、特に、Calude博士を中央大学研究開発機構に招聘し、直接相対して、アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈に関する助言ならびに、本研究全般にわたる情報およびコメントの提供を受けた。これにより、本研究は効率よく進展し、その成果の一つとして、私は、温度T=1における1方向性から2方向性への相転移現象を理解するために、新たに、strong predictabilityの概念を導入すること出来た。この概念により、温度T=1における相転移現象の数学的および計算論的内容について、理解が大きく深まり、その成果は、現在、情報理論の国際会議に投稿中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私がこれまでの研究で行った、圧縮率に関する不動点定理の証明を通じて、アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈における熱力学的関係式の重要性が、既に明らかになっている。
平成２４年度は、交付申請書に記載の通り、この熱力学的関係式を手掛かりとして、アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈において、熱力学との形式的対応を更に追及した。そして、この方法を通じて、アルゴリズム的情報理論におけるルジャンドル変換の持つ数学的意味を明らかした。また、やはり私のこれまでの研究により明らかになった、温度T=1における1方向性から2方向性への相転移現象を理解する手掛かりを得るために、平成２４年度は、特に、strong predictabilityの概念を新たに導入し、相転移現象の数学的かつ計算論的性質を明らかにした。
以上の理由により、本研究は、現在、おおむね順調に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後も、基本的に、平成２４年度の研究実施方法を踏襲し研究を進める。
平成２４年度の研究成果として得られた、アルゴリズム的情報理論におけるルジャンドル変換の持つ数学的意味についての理解に基づいて、今後は、アルゴリズム的情報理論における解析的手法の構築を行う。そして、温度T=1における1方向性から2方向性への相転移現象に関しては、やはり平成２４年度の研究成果として得られた、数学的および計算論的理解に基づいて、相転移現象そのものについての数学的な機構の解明を行う。そして、アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈におけるルジャンドル変換の役割の理解と、相転移現象についての数学的理解を統合し、相転移現象の計算論的内容と物理的な意義を明らかにする。
今後も、私のアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈に対して良き理解者である、海外の研究者との交流を深め、その研究者を中央大学研究開発機構に招聘し、或いは、その研究者の下へ出向き、直接議論を行い、効率的に研究を推進する。また、アルゴリズム的情報理論は固より、情報理論、統計力学などの関連する国際会議・国内会議に参加し、まず自身で発表を行い、それに関して他の研究者との意見交換を行う。同時に、他の研究者により発表される様々な研究を聴講し、本研究課題の成就に繋がり得る情報収集を行う。更に、私が勤務する中央大学研究開発機構の日常の研究活動においては、必要となる様々な文献（図書等）を入手・確保し、目を通し、本研究課題の着想を育み、本研究課題の達成を目指す。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
私のアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈に対して良き理解者である、海外の研究者との交流を深め、助言を得て、研究を効率的に推進するため、この研究費を使用する。
具体的には、私のアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈に対して、最も良い理解者の一人である、ニュージーランド・オークランド大学のC. S. Calude教授の下へ出向き、Calude教授と直接議論を行い、助言や、本研究全般にわたる情報およびコメントの提供を受け、効率的に研究を推進するために、この研究費を使用する。
このオークランド大学への出張は、平成２４年２月２１日～平成２４年３月５日の期間、既に執行済みであり、その旅費として、この研究費の全額と、平成２５年の研究費の一部を利用する。
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