2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540148
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
白石 高章 南山大学, 情報理工学部, 教授 (50143160)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 数理統計 / 計算機統計 / 生物統計 |
Research Abstract |
多群の2項モデルとポアソンモデルにおいて,すべての母数に関しての多重比較法について論じた。はじめに, 2項分布に従う確率変数の上側確率と下側確率をF分布の確率で表現するとともに,事象の同等性も述べ,多重比較法の理論を簡潔にするための表現を行った。この理論を基に,2項モデルに対して,F分布の上側100α%点を使って保守的なシングルステップの多重比較検定を構築することができることを示した。この場合,正則条件を明らかにし,さらに,検出力の高い正確な手法も提案した。シングルステップのこの理論を使って更に検出力の高いマルチステップの閉検定手順を述べた。1群モデルに対しても保守的な手法の理論の正則条件を述べている文献はないので,正則条件を明記した。以上は小標本の理論である。大標本理論として,さらにシングルステップの漸近的な多重比較法を述べ,漸近的な閉検定手順として手順が楽な逐次棄却型検定を論じた。この場合,逆正弦変換が使われた。 もう1つのポアソンモデルに対して,カイ自乗分布の上側100α%点を確率変数とし,その確率変数の関数がある領域に入る確率をポアソン分布の分布関数で表現するとともに,事象の同等性も述べ,多重比較法の理論を簡潔にするための表現を行った。正則条件も明らかにした。これにより保守的なシングルステップの多重比較検定法を論じることができた。ポアソンモデルの場合にも,多群2項モデルにおける母比率のすべてに関しての多重比較法と同様の漸近理論を構築することができた。 2項モデルとポアソンモデルいずれの場合も,逐次棄却型検定法の棄却域がシングルステップ法の棄却域を含んでいることが示せた。これにより,次の(1),(2)が示せた。(1) シングルステップ法で棄却される帰無仮説は,逐次棄却型検定法でも棄却される。(2) シングルステップ法よりも,逐次棄却型検定法のほうが検出力が高い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分散の等しいk群の正規分布モデルで,第i群の平均母数をμiとする。順序制約 μ1 ≦…≦μk がある場合の手法は,Williams (1977)で論じられているが,2以上のあるiに対してμ1 =μiの が成り立つか否かが判定できるだけである。 Jonckhere (1954)の統計量とShirahata(1980)の統計量はノンパラメトリック統計量であるが,パラメトリックバージョンを構築することができた。これらの統計量を使って,μi <μi+1 (1≦i≦k-1) となるiを特定するパラメトリックとノンパラメトリックな閉検定手順を提案することができることが解った。この理論を詰め,手法の有効性を示す必要があった。このために,順序制約のある場合には,順序制約のない場合の白石(2011a)に掲載された手法よりも,提案した閉検定手順が優れていることを計算機による数値によって解明することはできた。しかしながら,検出力が高いと思われた上記の手法よりも,ボンフェローニの不等式を使って提案できるホルムの方法に基づく多重比較検定法のほうが検出力が高い場合があり,納得できる結果が得られなかった。この原因は平方和の統計量を使った多重比較法について考察したためである。このため方法転換し,順序制約のない場合の多重比較法として使われている最大値統計量を基にした閉検定手順を提案することを考えている。 k群の連続分布モデルで,第i群の平均母数をμiとする。順序制約 μ1 ≦…≦μk がある場合のノンパラメトリックな閉検定手順の提案も上記の正規分布論と同様に試みたが,検出力が高いという結論に至らなかった。これも正規理論と同様に最大値統計量を基にした閉検定手順を提案することを考えている。 母数に順序制約のない多重比較法の研究として上記の項目「研究実績の概要」の内容を導くことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
k群モデルで,第i群の平均母数をμiとする。順序制約 μ1 ≦…≦μk がある場合の手法は,「現在までの達成度の理由」に書いているように,和の統計量を基にした多重比較法からいくつかの統計量の最大値を基にした多重比較法への提案に方向転換し,i<i'に対して帰無仮説H(i,i'):μi=μi' vs. 対立仮説:μi<μi'のすべての位置母数に関する多重比較検定と帰無仮説Hi:μi=μi+1 vs. 対立仮説:μi<μi+1の隣接した位置母数に関する多重比較検定に限定して理論を構築する。すべての位置母数に関する正規分布モデルでのシングルステップの多重比較検定はHayter(1990)によって提案されている。隣接した位置母数に関する正規分布モデルでのシングルステップの多重比較検定はLee and Spurrier(1995)によって提案されている。以下(i)から(iii)の解明を行う。 (i) 統計量の最大値を基にした同時信頼区間とノンパラメトリックなシングルステップの多重比較検定を提案する。(ii) 白石(2011)の中で論述した多重比較論により閉検定手順を提案し,それが逐次棄却型検定になっていることを示す。(iii) 順序制約のある場合には,順序制約のない場合の白石(2011)に掲載された手法よりも,提案した閉検定手順が優れていることを数学的理論と計算機による数値によって解明する。 指数分布は,ポアソン分布と密接に関係しており,指数分布に従う観測値のデータは,いくらでも存在する。指数モデルの統計手法は重要であるにもかかわらず,これまで,多重比較法を載せている統計学書は存在しない。このため,すべての平均相違の多重比較法や対照群とのダネット型多重比較法を提案し理論を構築する。その場合,正則条件をできる限り緩くする理論がとられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(3 results)