2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540148
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
白石 高章 南山大学, 理工学部, 教授 (50143160)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統計的多重比較論 / 正規分布論 / ノンパラメトリック論 / 閉検定手順 / 同時信頼区間 |
Outline of Annual Research Achievements |
分散の異なる正規分布を仮定した多群モデルにおけるすべての平均相違の多重比較検定法について論じた。Welch (1949)の検定統計量を基にして,Games and Howell (1976)はシングルステップの多重比較検定法を提案した。現在ではゲイムス・ハウエル(Games-Howell)法とよばれている。マルチステップ法として閉検定手順を提案した。この提案した閉検定手順がゲイムス・ハウエル法を優越することをシミュレーションによって論述した。 分散の等しい多群正規モデルで,位置母数に傾向性の制約のある場合に,すべての平均相違の多重比較検定として,Hayter (1990)は第i群と第i'群の2群間のt検定統計量の最大値を基にしたシングルステップ法を論じた。白石(2014)は,Hayter (1990)のシングルステップ法を優越する閉検定手順の理論を構築した。αを多重比較検定の水準とし,この論文でt検定統計量の最大値分布の上側100α* %点を使って優越性の証明が行われた。白石・杉浦(2015)は,この優越性を棄却域の包含関係によって証明を与えた。この証明を与えるために,数値積分による近似の良い方法を提案する必要があった。マルチステップの多重検定法で使われる標本分布の密度関数は,不定積分を含む漸化式で表され,数値計算の主要部は漸化式各項の密度関数に対する近似密度関数と近似分布関数の構成である。我々は,これらの密度関数を含む関数族を設定し,その関数族に適した近似法としてLund and Bowers (1992),Stenger (1993)のsinc近似を用いた。sinc近似では,高精度な近似密度関数と近似分布関数が同時に,かつ簡単に構成されるからであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多群正規分布モデルにおける順序制約のある場合の多重比較法として閉検定手順を提案した。その閉検定手順がHayter (1990)のシングルステップ法を優越することを,棄却域の包含関係によって数学的に証明した。さらに,Lee and Spurrier (1995)のシングルステップ法を優越する閉検定手順の理論を構築した。有意水準点の数表を作成するために,数値積分方程式を使う必要がある。近似の良い数値積分を行うためにsinc関数による関数近似をおこなう数値積分方程式を解く方法を提案した。近似の良さも確かめた。 上記の正規分布論を基に,多群連続モデルにおける順序制約のある場合の多重比較ノンパラメトリック理論を構築した。 分散の異なる正規分布を仮定した多群モデルにおけるすべての平均相違の多重比較検定法として,Welch (1949)の検定統計量を基にして,Games and Howell (1976)はシングルステップの多重比較検定法を提案した.現在ではゲイムス・ハウエル(Games-Howell)法とよばれデータ解析にしばしば使用されている.ゲイムス・ハウエル法を優越する閉検定手順を提案し,漸近理論とシミュレーションによる小標本理論により,閉検定手順の優位性を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
分散が均一の場合の正規分布を仮定した多群モデルにおけるすべての平均相違の多重比較法が,テューキー(Tukey (1953))とクレーマー(Kramer (1956))によって提案され,現在ではテューキー・クレーマー法とよばれている。白石(2011)によって提案された閉検定手順がテューキー・クレーマーの多重比較検定を優越していることを,棄却域の包含関係によって証明を与える。白石(2011年の論文)によって提案された閉検定手順に基づく位置母数の信頼領域がテューキー・クレーマーの同時信頼区間と一致していることを示す。 多群連続モデルにおけるすべての平均相違のノンパラメトリック多重比較論として,白石(2011)によって提案された順位に基づく閉検定手順がシングルステップのノンパラメトリック法を優越していることを漸近理論により示す。 分散が共通の正規分布を仮定した多群モデルにおける対照群と処理の平均の組の多重比較法は,ダネット(Dunnett (1955))によって提案され,ダネット法とよばれている。多重比較検定法として,ダネット法より優れているといわれている逐次棄却型検定法がある。この逐次棄却型検定法が閉検定手順になっていることを白石(2011年の著書)は示した。本研究ではこの逐次棄却型検定法がダネットの多重比較検定法を優越していることを,棄却域の包含関係によって証明を与える。さらにノンパラメトリック法についても漸近理論により,逐次棄却型検定がシングルステップ法を優越していることを示す。
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Research Products
(3 results)