2014 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元確率解析による量子情報論の新展開および力学系理論への応用
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24540149
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
齊藤 公明 名城大学, 理工学部, 教授 (90195983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三町 祐子 名城大学, 理工学部, 准教授 (00218629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 確率解析 / 無限次元解析 / 無限次元確率過程 / 量子情報論 / 力学系理論 / 数論的確率論 / 分枝過程 / 量子ホワイトノイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
新しく構成した超関数空間上である種の無限次元ブラウン運動の冪が繰り込み無しで定義でき,この下で無限次元確率解析を構築することができた.本超関数空間においては積が自然に定義できる.その結果,無限次元ブラウン運動の冪乗を定式化し,この冪乗に関して確率解析における伊藤の公式を拡張することに成功した.通常量子場の理論などで用いられる発散量δ(0)は本空間において数学的に定式化することができ,本ブラウン運動の生成作用素はδ(0)を介してLevy LaplacianとVolterra Laplacianを結合した形で表現される.本成果は国際論文誌 Communications on Stochastic Analysis に掲載された.本理論構築の精密化,応用研究の展開を引き続き継続研究している.特に,量子確率過程論,量子ホワイトノイズ理論,量子力学系理論への展開の研究において発展が期待される.また,計算機実験に基づいて,移民のついたGalton-Watson分枝過程の漸近挙動について成果を得た.分枝過程の推移確率行列の三角化法の開発,アルゴリズムの作成,プログラミングによる実験的考察に加えて一般的な移民付きG-W分枝過程研究に適用できる証明法も発見することができた.本成果は国際論文誌Random Operators and Stochastic Equationsに掲載された.これらの成果は,他に類のないものであり,今後,グラフ上の確率過程,複雑ネットワークなどへの展開,発展も期待される.更に,高次チェザロ和に関する定理の連続版を定式化し,一般化することに成功した.本成果については論文が完成し,投稿する段階にある.この成果は一般化されたLevy Laplacianに基づいた無限次元確率解析の基盤となるものである.専門書の執筆も含め,本解析の量子確率論への応用展開を継続している.
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