2012 Fiscal Year Research-status Report
常微分方程式に対する”先読み”線型多段階法の実装と拡張
Project/Area Number |
24540150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三井 斌友 同志社大学, 理工学部, 教授 (50027380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数値解析 / 微分方程式 / 離散変数法 |
Research Abstract |
申請研究課題である`先読み'型線型多段階法 (LALMM) のうち、特に2段階法について重点的に研究を進めた。すでに導出した4タイプの方法について、「硬い系 (stiff sytem)」である二体問題の方程式系に適用し、2段階法スキームはどの場合も、従来の離散変数法を上回る計算効率を示すことを確認した。これらの成果は、2012年9月ドイツ Halle で開催された 13th Seminar `NUMDIFF' on Numerical Solution of Differential and Differential-Algebraic Equations において講演発表した。講演に対して多くの質疑があり、特に J. Cash による extended backward differentiation formula (EBDF) methods との対比が重要とのコメントが貴重であり、この方向をさらに追求している。また、事後誤差評価機構に関する質問もあり、Nordsieck 表記を LALMM に対しても構成する作業を進めている。しかし、LALMM の場合ステップ間を渡る反復過程を含んでいるので、構成は容易ではなく、慎重に研究を進めている。 本研究課題に関連し、微分方程式の離散変数法に対する研究成果として、Guang-Da Hu (北京)と共同して、 Lyapunov 方程式の係数行列の固有値評価とその指数函数への適用の研究を行い、学術誌 Kybernetika に発表した。また、 Qian Guo, Wenwen Xie (上海)と共同して、遅延確率微分方程式に対する離散変数解法である split-step Milstein scheme の収束性および安定性に関して結果を導びき、これを学術誌 Abstract and Applied Analysis に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究実績にも述べたように、今年度一定程度の成果を収めることができたが、「研究の目的」に照らすと、おおよそ30%程度の達成と自己評価せざるをえない。一つの理由は、計算プログラムの解析・調整に予期以上に手間を要していることであり、コンピュータによる計算結果と、理論的解析との照合という過程が順調に進まなかったことにある。プログラミングにおける協力者を求めるなどの方策をとって、打開をしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に局所誤差の事後評価の確立と,その数値例による試験、さらに局所誤差と大域誤差の関係に対する理論的・実践的研究を行う.同時に,それを活用したステップ幅自動調整機構の整備と,プログラミング,またその数値的検証を行う.すなわち,局所誤差の事後評価の方法について有用な結論を導びくとともに,ステップ幅自動調整機構のプログラミングにも取り組む.また 3 段階以上の LALMM スキームも試作し,性能比較を行う. LALMM の適用範囲の拡大にもとりくむ.対象の一つである遅延微分方程式については,A. Bellen らの標準的な教科書でも ODE における一段解法の拡張しか述べられていない.一つの理由は,多段階法では安定性に限界があることが見えているからであ,LALMM によってそれを克服できる道があることは,この方面への拡大の可能性を示唆している.また,確率微分方程式についても,この方面の専門研究者である H. Schurz(Southern I llinois University 教授)は申請者との個人的な討議で,予測子・修正子型のスキームの重要性を指摘しており,挑戦する価値のある課題であるので,これらの研究にも取り組む. こうした研究成果の国内外での発表と,研究者間の交流にも力を注ぐ.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年9月スペインの Valladolid において開催される専門国際会議 International Conference on Scientific Computation and Differential Equations (SciCADE13) では Scientific Program Committee の一員を務めており、また研究成果の発表交流の場として国際的に重要であり、参加を予定する。ほか、図書購入・雑費支出を予定している。
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