2013 Fiscal Year Research-status Report
常微分方程式に対する”先読み”線型多段階法の実装と拡張
Project/Area Number |
24540150
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三井 斌友 同志社大学, 理工学部, 教授 (50027380)
|
Keywords | 数値解析 / 常微分方程式 / 離散変数法 / 次数 / 安定性 |
Research Abstract |
今年度については、``先読み''線型多段階法が応用される常微分方程式初期値問題に関連する数値解析の課題について研究を行った。その一つが確率微分方程式に対する離散変数解法であり、中国・上海師範大学のQian Guo, Wenwen Xieと、遅延 (delay) を含む方程式系のMilstein-type の離散変数解法について研究し、その収束性と安定性を解明した。成果は論文 Convergence and stability of the split-step-Milstein method for stochastic delay Hopfield neural networks として,学術誌 Abstract and Applied Analysis, vol. 2013 (2013) として発表した。さらに3人に X. Tao を加えた共著講演発表として.Convergence and stability analysis of stochastic delay differential equations を,国際会議 SciCADE 2013 (2013 Internatinal Conference on Scientific Computations and Differential Equations). Valladolid の講演発表を行った。これらは基本的に一段階 (single-step) の離散変数解法であり,多段階法に拡張する可能性をまだ残しており,その方向の研究課題を進める必要がある。 また、特殊な2階常微分方程式系(1階導函数をあわらに含まない)に対する離散変数解法のグループである Stormer-Cowell 法の簡易な導出法を見出し,単著で、研究集会「常微分方程式の数値解法とその周辺 2014」(静岡理工科大学袋井キャンパス, 2014年3月6日) として講演発表した。Hamilton 系に関連するこのタイプの方程式系は,symplecticness など幾何学的特徴をいかに近似・再現できるかが課題であり,"先読み"線型多段階法をいかに適用するか,考察が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
``先読み''線型多段階法の次数の解析についてはあらまし完成させ,それに応ずる標準プログラム化が達成されているところであるが,安定性解析について期待された優位性が発揮できる結果がえられておらず,線型安定性解析の基本から見直しを行っているところある。「硬い」系に対する解析を,その計算効率とともに見直す必要を感じており、今後これを推進する計画である.そのため、汎用性の高いプログラムとして作成する作業は、そのあととなる見込みであり、また関連する函数方程式系への発展も遅れざるをえない状況にある.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記にも記したように,安定性解析の見直しの必要に迫られているため,この課題に集中して取り組み,その上で所期の課題に改めて取り組む.そのためには大規模線型系の反復解法との関連によく目配りして,理論・応用・プログラミングを行うことが肝要であると考えている.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記でも述べたように,研究計画推進の上で少し遅れを生じており,講演ならびに論文発表の機会が計画より少なかったため,次年度使用額を生じた。 研究計画,特に安定性解析の課題を見直し,問題を解決して,計画最終年度である今年度に研究成果の発表を推進し,経費も予定通り使用する計画である。
|