2014 Fiscal Year Research-status Report
常微分方程式に対する”先読み”線型多段階法の実装と拡張
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24540150
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三井 斌友 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50027380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数値解析 / 常微分方程式 / 離散変数法 / 次数 / 安定性 / 計算効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度当初には、第43回数値解析シンポジウム(6月10日,沖縄県石垣市ホテル日航八重山)において``先読み''線型多段階法の研究の現状を報告し、参加者の討論によって有益な示唆をえた。これに力をえて、多くの数値実験を重ねているが、まだ結論をうるに至っていない。一つの要因は,`先読み''線型多段階法の実装と拡張のための数値実験において,安定性実現のために予期しなかった障害があることが判明し,その克服のために内部反復過程の軽減を実現する必要が生じたためである。これに関する理論的考察は,年度末に一定の結論をうることができたので,これを実装すべく準備を進めている。 9月には国際会議 Kyoto Conference on Numerical Analysis and Differential Equations 2014において, Study of numerical analysis in Japan -- A private view --と題するサーベイ講演を行って、我が国における数値解析研究史を総括し、今後の方向を考察した。 一方中国・上海師範大学の Qian Guo らと確率遅延微分方程式の離散変数法の研究を推進し、連立系に対する Runge-Kutta スキームを丸山型に拡張した方法の安定性に関して興味深い結果をえた。現在発表を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
``先読み''線型多段階法の標準プログラム化のためには,上記「概要」に述べた障害の克服と同時に,安定性解析の結果を反映させたステップ幅の推定機構を構成しなければならないが,その解析と性能評価がまだ確立していない。両課題の追求が予期より遅れているためである。常勤職を定年退職したことにともなって,計算環境を替えなければならなくなり,その過程に手間取っていることも一因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
安定性解析の見直しと,stiff system における内部反復過程(線型連立系の求解過程)の能率化が課題となっているので,この解決をめざす。また,`先読み''線型多段階法(現在は線型2段階法として実現している)の予測子・修正子の組み合わせとして,これまでテストしてきた4種類のほかに,次数を変更した組み合わせを導入する必要性が明らかとなったので,この点での見直しも行い,これらの研究成果を国内外の研究集会の機会に発表する。
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Causes of Carryover |
研究課題である”先読み”線型多段階法の実装と拡張のため,数値実験を行ったところ,安定性実現のために,予期しなかった障害があることが判明し,これを克服するため方法の内部反復過程を軽減を追求して,今年度末に結果をうることができた。これら成果を研究集会・論文において発表することとしたため,未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記障害の実践的克服の見通しがえられたので,これを実現し,その研究成果を次年度の国内外の研究集会で発表することとし,未使用額の多くはその経費に充てる。同時に,研究成果の論文発表を次年度に行い,未使用額の一部はこの経費としても充てる。
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