2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
西山 陽一 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (90270412)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / マルチンゲール / エントロピー / 弱収束 / セミパラメトリック推定 |
Research Abstract |
今年度の主たる研究成果は,stochastic maximal inequality を証明し,それを用いて,無限次元マルチンゲールに対する中心極限定理を大幅に改良したことである.その応用として,次の二つの統計的課題の研究を行った. (1) 従来より取り組んでいる確率過程の変化点問題の更なる研究を行った.論文 Negri and Nishiyama (AISM, 2009) において,拡散過程モデルの連続観測データに基づく新しい検定手続きを提案したが,これを,拡散過程の離散観測の場合や,点過程(計数過程)モデルに対しても適用できるように,理論を改良・発展させた.具体的には,新しく構築した確率場の弱収束理論を援用して,極限がブラウン運動の mixture になるような場合も扱うことができるように改良することに成功した. (2) セミパラメトリック推定問題における新しいアプローチを考案した.セミパラメトリックモデルとは,興味あるパラメータは有限次元であるが,これに無限次元の攪乱パラメータが混入しているモデルのことである.具体的には,拡散過程モデルにおいて,ドリフト項を興味ある有限次元のパラメータでモデルを立て,拡散係数(関数)を無限次元の攪乱パラメータと見なすような状況を考える.このようなモデルにおいては,いかにして無限次元の攪乱パラメータを消去するかということがポイントとなる.論文 Nishiyama (Ann. Stat., 2009) では,そこに無限次元の一致推定量をプラグインすることを提案し,一定の成果を挙げたが,その理論は Cox 回帰モデルのように,有限次元・無限次元の2種のパラメータが直交していない場合には適用できなかった.今年度では,この点の改良に成功し,その果実として,Cox 回帰モデルでの新しい推定量を導出することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度における主結果の stochastic maximal inequality は,マルチンゲール理論の基盤をなす「Doob-Meyer 分解」と呼ばれる1次元の等式を,多次元の不等式に拡張するものであり,これを出発点として,無限次元の Lenglart の不等式,確率場の弱収束等の画期的成果が得られた.また,そのセミパラメトリック推定への応用も,従来の常識を覆す成果に結びついた.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時当初の計画と比較して,研究の推進方策に変更はない.方向性は予定通りで,より強い主張の成果が得られる見込みである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変更なし.
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