2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540152
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
西山 陽一 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90270412)
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Keywords | マルチンゲール / 経験過程 / 弱収束 / 緊密性 / Cox モデル / セミパラメトリック統計 |
Research Abstract |
確率場の弱収束理論を展開する上で鍵となる緊密性を判定するための研究をした. まず伊藤の公式を応用して,セミマルチンゲールの下に凸なC2汎関数に対する厳密不等式を証明した.それを用いて,Doob-Meyer分解定理の特別な場合の拡張にあたる「確率的 maximal inequality」を証明した.これにより,Kolmogorovによる鎖法を利用した場合よりもシャープな「期待値 supremal inequality」,および,「無限次元マルチンゲールに対する Lenglart の不等式」等を導くことに成功した.この進展のためには,「狭義可算性」という新概念を導入したことが最重要のポイントであった. これらの成果により,特に無限次元マルチンゲールの弱収束理論に飛躍的な前進がもたらされた.統計的応用として,Cox回帰モデルにおける adaptive estimator の構成に成功した.従来の学説では,そのような構成は不可能であろうと予想されていたが,今回の新理論により,ベースライン危険関数に対する密度推定量をプラグインすることができるようになったことが,定説を覆す研究成果が得られた主たる要因である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の確率場の弱収束理論はすべて Kolmogorovの鎖法を出発点とするものであった.当初の計画ではその方法を改良することを想定していたが,研究途上で伊藤積分の性質を利用した全く新しい方法を発見したため,当初は予期していなかった飛躍的な研究成果が得られつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の新理論は,既に論文としてまとめて専門学術誌に投稿をすませ,現在審査中である.採択・出版に成功するためには,理解が容易ではない独創的なアイデアが正しいことを査読者に説明・説得しなければならないことが当面の課題である.その次の段階として,新理論を執筆中の新著(洋書)において解説し,学術界に普及していくよう努力しなければならない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において真に有効な使用となる物品の中で,価格がちょうど (B-A) に等しいものがなかったため,次年度に有効な使用をしたほうが賢明であると判断したため. 物品費に充当する予定である.
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Research Products
(3 results)