2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80134807)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子電磁力学 / フォック空間 / ディラック粒子 / 正準交換関係 / ヒルベルト空間 / 摂動論 / 基底状態 / スピン-ボソンモデル |
Research Abstract |
(1) ディラック粒子--スピン1/2の相対論的荷電粒子--と量子輻射場が相互作用するモデルの研究.このモデルは,相対論的量子電磁力学のモデルの一つである.相互作用項に現れる量子輻射場作用素に紫外切断を導入することにより,そのハミルトニアンHは数学的に意味をもつ作用素として定義される.今年度は,散乱理論の構成とディラック粒子の異常磁気能率を,Hから出発して数学的に首尾一貫した仕方で導出することを試みているがまだ結果に到達していない. (2) 一般化された正準交換関係の表現論.量子力学における基本原理の一つとして,正準交換関係(CCR)と呼ばれる代数的関係式がある.種々の量子力学系は,この交換関係の諸々のヒルベルト空間表現として捉えることができる.この観点の一般化として,CCRの一般化を研究するのは自然である.そこで,一般化された正準交換関係(GCCR)のあるクラスを導入し,そのヒルベルト空間表現を考察した.このGCCRは,非可換相空間,非可換位置空間,非可換時空の一連のクラスを特殊な場合として含むものであり,この意味において,高度の普遍性を有する.GCCRの基本的な特性を明らかにするとともに,GCCRのシュレーディンガー型表現およびヴァイル型表現を定義し,CCRのヴァイル表現に関するフォンノイマンの一意性定理に相当する一意性定理を証明した. (3) 線形作用素論における新しい摂動論を構築し,その応用の一つとして,質量ゼロの量子場と相互作用する一般量子系のモデル(一般化されたスピン--ボソンモデル)の基底状態エネルギーが結合定数に関して漸近展開できることを証明した.この場合,赤外正則条件の度合いがより強ければ,漸近展開の最高次数をより大きくとれることも明らかにされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の第一目標は,まだ,完全には達成されていないが,方向性が見えてきているので,今後の進展が期待される.また,この目標と関連するいくつかの研究成果が得られていることは心強い.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の目標で達成できていない部分の研究を引き続き,重点的に行う.方向性が見てきているので,十分な研究時間が得られれば,結果が出せると思われる.また,関連する研究も同時並行的にやっていきたい.研究計画の変更等は特に必要ない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に旅費と図書の購入に使用される(国外1回,国内数回).また,場合によっては,パソコンを購入する.
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Research Products
(4 results)