2012 Fiscal Year Research-status Report
偏微分方程式に対するウェーブレット理論の発展とその数値解析的応用
Project/Area Number |
24540161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 保 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90301077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 邦彦 筑波大学, 名誉教授 (00026262)
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
久保 隆徹 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90424811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / ウェーブレット / 数値解析 |
Research Abstract |
24年度は、偏微分方程式の係数、および解に対する観点から、次のような研究成果をあげることができた。 (1) 数値解析の手法としてよく知られている有限要素法では、ハット関数が通常用いられているが、ウェーブレットを改良したある種のリース基底を用いて、数値解析的な応用として微分方程式の近似解の計算を試みた。その際、数値解析的に意義のあるいくつかの公式を導出することができた。 (2)2階の単独方程式に対して、ill-posednessに関する結果を得た。すなわち、well-posednessの反例となる初期値問題を構成した。時間変数に依存する係数が解の爆発を引き起こすのであるが、係数自体をウェーブレット変換し、その振動の特徴を十分見いだすことができた。通常、解の爆発は非線形項が原因となることが多いのだが、ここでは線形の方程式にもかかわらず、解の爆発が起きることは大変に興味深い現象であると考えている。 (3) 一般に偏微分方程式論から、双曲型方程式をGevreyクラスにおける解の適切性がよく研究されている。それ故、その近似解を構成する場合、Gevreyクラスに属するウェーブレットが最も有効であろうと考えられる。Fukuda氏, Uehara氏らともに研究打合せを行って、時間空間と周波数空間の両方においてGevreyクラスに属するウェーブレットの構成に成功した。 楕円型方程式等を扱う際は、解析的な関数を用いたウェーブレット解析も有効であると考えている。解析的なクラスに属するウェーブレット、すなわちバンド制限されたウェーブレットの構成のための研究の準備も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面について、興味深いウェーブレットの構成に成功し、おおむね順調に進展している。ただ、理想的な状況設定をしているため、実用的かどうかは検討の余地がある。さらなる理論面の発展にも取り組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面だけでなく、応用面についても随時、研究を進め、役立てたいと考えている。実用性を踏まえて、いくつかのより実践的な条件を課せるつもりである。また、数値解析的な立場からの誤差評価等も十分行っていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の支払いが、4月以降になったためで、既に使用されています。
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Research Products
(5 results)