2013 Fiscal Year Research-status Report
対数的ベクトル場と特異多様体の計算複素解析と代数解析アルゴリズム
Project/Area Number |
24540162
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田島 慎一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70155076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 功任 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (00313635)
鍋島 克輔 徳島大学, 大学院, ソシオアーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (00572629)
中村 弥生 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60388494)
|
Keywords | 国際情報交換 / 特異点 / 代数解析 / アルゴリズム |
Research Abstract |
複素解析と計算代数解析の観点から, 対数的ベクトル場および複素解析的特異点に関する研究を行った. 田島・鍋島が共同で, 孤立特異点が擬斉次からのmu-constantな変形とみなせる半擬斉次孤立特異点の族に対し, それらの超曲面に沿う対数的ベクトル場全体の構造を決定し数式処理を用いて実際に計算するアルゴリズムを考案・実装した. これにより, 対数的ベクトル場の構造が変形パラメータにどのように依存するか明らかにしていくことが可能となる. ニュートン非退化な孤立特異点に付随する代数的局所コホモロジーについて考察し, ニュートンフィルトレーションと両立する基底コホモロジー類を求める計算方法に関する研究をすすめた. 昨年度の研究では"commode"条件を課していたが本年度の研究により, "commode"条件を満たさないようなより一般的な場合に計算方法を拡張することを試みた. Le cycles に対し, Ehrenpreis-Palamodov が導入した Noether作用素を求める計算方法について研究した. また, 非孤立特異点を持つ超曲面に対する vertical monodromy について研究をすすめた. 田島・小原・照井が共同で, 有理数あるいは整数を成分にもつ正方行列に対する固有値問題を数式処理システム上 exactに扱う計算法について研究を行った. 最少消去多項式候補を用いることで, 固有ベクトル計算を効率的に行う計算アルゴリズムを導出・実装した. また, 行列多項式に対するHorner法に改良を加え, 並列化も行うことで固有ベクトル計算の更なる効率化を図った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異点の変形族に対し, 対数的ベクトル場の構造を求め, 計算するアルゴリズムを実装することができた. これにより, 特異点の複素解析的諸性質を研究する新たな手法を構築していくことが可能となった. この事の意義は大きい. "commode"条件を満たさない一般的なニュートン非退化特異点に関する研究が進んだことは有意義である. 特異点に付随して定義される代数的局所コホモロジー類の満たす偏微分方程式系をパラメータ付の場合に構成できた. これにより次年度から, 種々の計算実験を行えることになった. Noether作用素とvertical monodromyに関し, 新たな知見をえることができた. 今後の研究において意味が大きい. 行列の固有値問題をexactに扱う効率的算法の枠組みをほぼ完成させることが出来た.
|
Strategy for Future Research Activity |
擬斉次孤立特異点の変形として現れる半擬斉次孤立特異点族に対し対応するホロノミーD-加群の構造および対数的ベクトル場のパラメータ依存性等を研究する. これにより特異点の複素解析的諸性質の研究をすすめる. 応用の一つとして, Bruce-Robertミルナー数の研究を行う. ニュートン非退化な孤立特異点に対し, ある種の代数的局所コホモロジー類を考えることで, 特異点の複素解析的諸性質を研究する新たな枠組みを構築する. Noether作用素およびvertical monodromyとホロノミーD-加群に関する研究をすすめる. 行列の固有値問題をexactに扱う新たな計算手法を確立し, アルゴリズムの実装・並列化を完成させる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に予定していた金沢大学への出張を26年度に延期, 実施することとなったため. 26年度に金沢大学への出張を実施する.
|
Research Products
(23 results)