2013 Fiscal Year Research-status Report
非線形シュレディンガー方程式の孤立波の不安定性に関する研究
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24540163
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
太田 雅人 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00291394)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 孤立波 / 安定性 / 不安定性 |
Research Abstract |
今年度は主に、(一般化)微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道不安定性について研究を行った。微分型非線形シュレディンガー方程式は、角振動数と並進速度という2つのパラメータに本質的に依存する孤立波解の族をもつという点が、通常の非線形シュレディンガー方程式と異なる。また、非線形項に未知関数の導関数が含まれ、微分の損失が生じるため、線形不安定性から非線形不安定性を導くことは難しい。 微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道安定性については、以前の研究(M. Colin and M. Ohta 2006)により解明されていたが、今回は1パラメータ族の孤立波解に対する軌道不安定性に関して、リアプノフ汎関数を構成する従来の方法(Shatah and Strauss 1985, Grillakis, Shatah and Strauss 1987, M. Ohta 2011など)を、2パラメータの場合に拡張することにより、あるパラメータ領域において、微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解が軌道不安定であることを示すことができた。 また、準線形シュレディンガー方程式の基底状態の軌道不安定性について、M. Colin(ボルドー大学)と共同研究を行った。空間3次元で非線形項が3次の場合、M. Colin, Jeanjean and Squasina (2010) などにより、条件付きで基底状態の安定性が得られていたが、準線形項の係数が十分小さい場合には、通常の非線形シュレディンガー方程式と同様に、基底状態は軌道不安定であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた課題のうち、微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道不安定性について、ほぼ満足できる形で解決したため。 また、その他のモデル方程式の孤立波解の不安定性への応用も進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道不安定性だけでなく、さらに強い意味での不安定性について調べる。特に、孤立波解のどんな近くにも有限時間で爆発する解が存在するかどうかという問題に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究代表者の外国出張が都合によりできなかったため。 本研究課題で得られた研究成果を国際会議で発表する機会を増やす。また、関連する研究集会に参加し、最新情報を収集し、専門家と研究打ち合わせを行う。
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