2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540166
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
児玉 秋雄 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20111320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 悟 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90178971)
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Keywords | 正則自己同型群 / 一般複素楕円型領域 / ラインハルト領域 |
Research Abstract |
複素多様体Mに対して,Aut(M)をコンパクト開位相を入れたMの正則自己同型全体のなす位相群とする.このとき,研究代表者児玉と研究分担者清水は正則自己同型群Aut(M)の位相群としての構造から複素多様体構造が決定されるかどうかという基本問題を研究してきた.この基本問題に関連して,今年度は研究代表者および研究分担者は次のような研究成果を得た. 1.複素n次元ユークリッド空間内の,境界が滑らかであるとは限らない一般複素楕円型領域E対して,「その正則自己同型群Aut(E)の構造を具体的に決定せよ」という問題について研究し,完全な解答を得ることが出来た.これは,M. JarnikiとP. Pflugによるテキストにおいて提出された1つの問題に肯定的な解答を与えるものである.また,ハルトークスの三角形と呼ばれる複素2次元有界ラインハルト領域を自然な形で複素n次元ユークリッド空間内に拡張して定義された,一般ハルトークスの三角形Hに対して,その正則自己同型群Aut(H)の構造問題に関する研究をした.そして,Aut(H)の構造問題が上記の一般複素楕円型領域Eに関する研究と密接に関係していることが解明でき,現在Aut(H)の構造問題の研究は最終段階に入っている. 2.非有界ラインハルト領域の正則同値問題,正則自己同型の研究の一環として,リュービル葉層構造と呼ばれるものに関する研究を行った.リュービル葉層構造は,一般の複素多様体Mに対して定まり,Mの双正則不変量を与えるという点で重要である.今年度は,Mの対数像に含まれる極大アフィン部分空間の次元が正の場合に,Mのリュービル葉層構造について考察した.そして,M上のリュービル葉層構造を決定するための基本的な原理を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である「複素多様体の複素構造をその正則自己同型群の構造を用いて決定せよ!」という複素解析の研究における基本問題は非常に難解であり,短期間に完全に解決することは困難である.しかし,今年度の研究において,基本問題と関連する一般複素楕円型領域の正則自己同型群の構造を完全に決定することが出来,またこの結果が一般ハルトークスの三角形と呼ばれる有界ラインハルト領域の正則自己同型群の決定問題と深く関わっていることが解明され,近い将来に一般ハルトークスの三角形の正則自己同型群の決定問題が完全に解決される見通しが立ったことは今年度の大きな成果であり,またこれらの研究に用いられた手法が我々の基本問題の解決に大いに役立つものと思われる.このようなことから,本研究の目的は概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方であるが,従来通りに,まずは我々の研究に関連して世界各国で行われている研究,特にその成果をあげる際に用いた研究手法を徹底的に吟味し,我々の研究に応用出来ないかどうかを調べる.しかし,本研究に関してここ数十年来行ってきた我々の研究経験からして,最後は我々自身の問題の本質をじっくりと考え抜き,試行錯誤で問題解決にあたるほかにないと思われる.まずは,一般ハルトークスの三角形の正則自己同型群の決定問題の完全解決に努力したい.このようなことから,本研究に際して,現在の研究計画を本質的に変える必要はないと思い,問題解決に邁進する.
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Research Products
(7 results)