2014 Fiscal Year Research-status Report
ボーズ・アインシュタイン凝縮の作用素値確率変数を用いたアプローチ
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24540168
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田村 博志 金沢大学, 機械工学系, 教授 (80188440)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子力学系 / 数理物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
連続系の量子統計力学の数学的モデルに関する研究を発展させるため、ボーズ-アインシュタイン凝縮(BEC)の量子統計力学を扱うことが本研究の中心課題であったが、研究の進展が手詰まりな状況となっている。
これとは別に、「研究の目的」や「研究の実施計画」に副次的に挙げた研究テーマである非平衡統計力学の研究として、cavity とそれを通る原子系をモデル化した理論の研究が進展している。具体的には、連結量子調和振動子系に対応する開放系の時間発展を記述する Kossakowski-Lindblad-Davies 型の理論を考える。これは、閉じた系の量子力学的発展が Hamiltoniann によって記述されるが、環境との熱的相互作用を加味した理論で、発展方程式に Hamiltoniann 以外の光を付け加えるものである。この理論は、1970年代から調べられ、Hamiltonian などの項が有界作要素の場合は、整備されているが、我々のモデルのような非有界作要素を扱うものは、その応用的見地から重要であるにもかかわらず目覚ましい進展が見られない。おもな困難は、時間発展を制御する非有界作用素が、強連続半群を生成するかどうかを判定する点にある。我々のモデルにおいては、実際に強連続半群の作用素が自然に導かれる事を示すことに成功した。さらに、cavity とそれを通った原子のうち、cavity に近いものだけを部分系として取り出し、粒子が出入りする統計力学的系を扱い、それが長時間極限で定常状態に漸近的に近付くことを示した。 この成果は、3編の論文としてまとめられ、現在出版に向けて共著者と最終調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作用素値確率変数を用いた BEC の議論は行き詰ったが、 cavity の理論の 開放力学系としての研究は、大いに進展した。 しかし、共著者との調整に手間取り論文の出版に手間取っている。 合わせて、進展状況は可もなし不可もなしといったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当面 cavity 系に関する研究成果の論文出版を最優先する。 あわせて、この研究に関連して、量子光学的立場における共振現象の数学的取り扱いを試みる。またそもそもの「研究の実施計画」で述べた Bose-Einstein 凝縮と関連させる研究も試みる。
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Causes of Carryover |
26年度はソウルで行われた国際数学者会議に参加するなどのために、研究費を有意義に使用したが、25年度からの余りの部分を少し節約して、次年度に余裕を持たせることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度までの科学研究費基金の余りと27年度分とを合わせ、国内外への出張及び図書の購入、講演謝金などに有効に用いる。 内訳は概ね、旅費:90万円、物品費:20万円、謝金:10万円、その他10万円である。
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Research Products
(2 results)