2012 Fiscal Year Research-status Report
Dirichlet形式が定める対称拡散過程の局所構造と付随するノイズの研究
Project/Area Number |
24540170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40303888)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 確率解析 / ディリクレ形式 / フラクタル / 無限次元空間 / 局所構造 |
Research Abstract |
リーマン多様体などの滑らかな空間においては,標準的なディリクレ形式から定まる内在的距離は幾何学的な測地距離に一致し,これは熱核の評価などに利用される基本的な事実である.底空間がフラクタル集合の場合は,多くの場合内在的距離が恒等的に0となってしまいそのままでは意義がないが,参照測度を適切に設定することにより,非自明な内在的距離を考えることができる.これが幾何学的な表示を持つかどうかという問題は基本的であるが,梶野直孝氏による2次元シェルピンスキーガスケットの場合の研究が従来唯一のものであった.本年度,離散グラフの極限で表せるような空間において,弱い仮定の下,内在的距離が測地距離以下であることを示した.また,調和構造が非退化な一般化2次元シェルピンスキーについては,両者が等しいことを証明した.証明方法は従来のものとは異なる.以上の結果について論文を執筆し,現在専門誌に投稿中である.また,国際研究集会「6th International Conference on Stochastic Analysis and Its Applications」(ポーランド),「International Conference on Advances on Fractals and Related Topics」(香港)等において,招待講演を行った. 昨年度投稿した2本の論文については,修正ののち専門誌に掲載が決定した. 更に,ここ数年の研究結果を踏まえた内容の論説を雑誌「数学」向けに執筆し,現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称拡散過程のノイズを解析的な側面から研究する方法として,付随するディリクレ形式の局所構造を明らかにするという方向性は自然なものである.内在的距離は局所ディリクレ形式の局所構造と密接に関係しており,今年度の研究で得られた成果は,その幾何学的な性質についての理解を深めるものである.このような研究は今後対応する確率過程の性質を調べるのに有用であり,研究の更なる進展が見込まれる.以上のことより,本研究課題は順調に進展しているものと判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の課題に加えて,a) 道の空間等の無限次元空間の領域における確率解析の研究,b) ディリクレ形式により構成される拡散過程で駆動する「確率微分方程式」の理論の展開,についても研究を進める.a) については長年研究が進捗していなかった問題であるが,極く最近ディリクレ形式のエルゴード性に関する未解決問題が解決されたことや,申請者の最近の研究において,抽象Wiener 空間でのH-位相と標準ディリクレ形式に付随した準位相との関係が明らかとなったことから,研究の進展の見込みが出てきた.まずはディリクレ形式の定義域の拡大一意性の問題や,対応する拡散過程の一意性の問題に応用が可能であるかどうか検討する.課題b)については他の課題の総決算ともいえるものである.現状ではディリクレ形式に関する確率解析の一般論において,確率過程の微視的な挙動は明示的になっておらず,確率微分方程式のような明快な表示に今後どこまで迫れるかが主眼である.これまでの研究で核となりそうなアイディア(ディリクレ形式に付随する測度論的リーマン構造や,内在的距離の幾何学的表現など)をもとに進展を目指す. 研究成果については,適宜国際研究集会などで発表を行うものとする.平成25年度は"The Asian Mathematical Conference 2013"(釜山)での招待講演を予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
The Asian Mathematical Conference 2013(釜山)に参加,講演を行うため,出張費として200千円を計上した.研究協力者の伊藤悠氏にはフランスでの研究集会に参加してもらい,情報収集を行う.出張費として300千円を計上した.また,9月と12月に本研究課題に関連する国内研究集会があり,参加及び成果の報告を行う.無限次元空間上の確率解析・ラフパス解析の専門家である稲浜譲氏(名古屋大学),河備浩司氏(岡山大学)を大阪に招き,セミナー・議論を通じて問題の理解を深める.これらの経費として400千円を計上した.更に,計算機環境の整備のため,ノートパソコンを購入する.経費として250千円を計上した.その他,書籍費・論文別刷費・コンピュータ関連機器購入費・英文校閲費として250千円を計上した.
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Research Products
(4 results)