2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540179
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
梶木屋 龍治 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183261)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 最小エネルギー解 / 楕円型偏微分方程式 / 準線形放物型偏微分方程式 / p-Laplace方程式 / 非線形ノイマン問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 境界に非線形ノイマン条件をおいた楕円型偏微分方程式を研究した. このとき方程式の非線形項が優線形ならば, 無限大に発散する解の列が存在することを証明した. また方程式の非線形項が劣線形ならば, 0に収束する解の列が存在することを証明した. 従って, もし非線形項が優線形項と劣線形項の両方を持つならば, 無限大に発散する解の列と0に収束する解の列の2種類が存在することを証明した. この論文における仮定は, 従来のものよりも, 極めて弱い仮定であり, 数学的重要性は大きいものである. 2. 2階常微分方程式の2点境界値問題を研究した. 従来, 係数関数が偶関数の場合に少なくとも3個の正値解が存在することが知られていた. 係数関数が区間の中心部に比べて両端の値が相対的に十分大きいならば, 係数関数から偶関数の仮定を外しても, 少なくとも3個の正値解が存在することを証明した. 証明は, 次のような論法に基づいている. 方程式に対するレイリー商を考え, 二つの異なる多様体上で最小点を探す. これらはそれぞれの最大点を区間の両端の近くに持っている. 次にこれら2つの正値解に対して峠の補題を適用することにより, 第3の正値解を求める. 3. 準線形放物型偏微分方程式の1つであるfast diffusion equation を研究した. すべての解は, 有限時刻において0に消滅する. その消滅する解を消滅時刻の近傍において変数変換して, 消滅の様子を詳細に調べた. 特に円環領域において方程式を研究した. 変数変換した後の方程式に対して, 正値球対称定常解が不安定であることを証明した. またこれを利用して, 最小エネルギー解の対称性が崩れていることを証明した. 証明には, 変分法, 関数解析, 放物型偏微分方程式論などを使う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2014年度は,査読付き論文5本が専門誌に掲載された. 国内の学会及び国際学会で合計6回の講演発表を行っている. 研究実績の概要でも述べたように, 非線形ノイマン条件を持つ楕円型偏微分方程式の研究, 準線形放物型偏微分方程式の定常解の不安定性の証明, 2階常微分方程式の2点境界値問題に対する3つの正値解の存在, 穴の空いた領域における群不変解の研究等の様々な研究を行った. 当初の計画以上の多くの研究結果を得た. そのため研究成果は非常に大きいものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
p-Laplace 方程式をディリクレ境界条件の下で考える. このとき, 零解が解全体の集積点であるための極めて弱い十分条件を与える. また, いくつかの具体的な楕円型偏微分方程式に対して, 零解が解集合の集積点となるか孤立点となるかの判定条件を与える. この問題を解決するには, 多くの数学的理論が必要となる. 変分法, 関数解析, 楕円型偏微分方程式論, ソボレフ空間論などである. これらに関する書籍, 専門書, 電子ファイル, 論文などを多く集め, 精読し理解する. さらに他の研究者と連絡を取り合って, 本研究に関連した詳しい情報を入手する. これらのデータをパソコンの中にデジタルデータとして保存し, 常時参照できるようにする. また, 今年がこの研究計画の最終年度であるため, 7月にフランスで開催される国際会議で今までの研究成果を発表する予定である.
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Causes of Carryover |
大学内の運営交付金の予算が増えたこと, また今年度は国内及び海外の研究集会が少なかったため出張費にあまり科研費を使わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フランスでの国際会議が7月に開かれる. これに出席して研究成果を発表し,同時に研究打ち合わせを行い, また最新の研究情報を得る予定である. 夏の航空運賃は非常に高いので, この出張旅費に使用する予定である.
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Research Products
(11 results)