2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540181
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱名 裕治 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00243923)
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Keywords | Wiener sausage / ブラウン運動 / Ornstein-Uhlenbeck 過程 |
Research Abstract |
ずれをもたない偶数次元ブラウン運動に対する Wiener sausage の体積の期待値の漸近展開は,前年度から論文執筆に入り,今年度になって完成し,まだプレプリントの段階であるが,公表するに至った.この結果の基となっている Wiener sausage の体積の期待値の表示に関する論文が,いまだ掲載にまで至っていないことが,学術誌への公表の遅れの原因となっている.さらに,第2種ベッセル関数の零点の近似値の論文も,同じ理由でプレプリントでの公表の域を出ていない.前年度に投稿した論文の掲載決定後,すみやかにしかるべき学術雑誌に投稿する予定である.しかし,ベッセル過程の到達時刻の末尾確率の漸近挙動に関しては,未解決となっていた極限値のパラメータに関する連続性について完全に解決することができ,学術論文として出版され公表されるに至った. ずれをもつブラウン運動に対する Wiener sausage の体積に関しては,前年度に研究の方針を修正しなければならないことが分かったが,その後の研究で,Ornstein-Uhlenbeck 過程に対する Wiener sausage の体積を考えることが,問題解決の突破口になるという新たな視点をみいだすことができた.それは,本研究申請時に提示した本年度の計画を遂行することに他ならず,遅れていた研究が挽回できることが期待できる.Ornstein-Uhlenbeck 過程で Wiener sausage を考える際に問題となるのは,ブラウン運動のように平行移動に関するある種の普遍性が成立しないことである.本年度は,それの問題を回避する方法を模索しており,まだ解決策が見い出すまでには至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ずれをもつブラウン運動に対する Wiener sausage の体積の期待値を表示する際に,ずれをもたないブラウン運動の場合と同じ手法が使えないことがはっきりし,方針の修正を余儀なくされた.議論が行き詰っていたが,本年度,後半になって Ornstein-Uhlenbeck 過程に対する Wiener sausage の体積を考えることで,解決できるとの期待がでてきた.そこで,この Wiener sausage を Ornstein-Uhlenbeck 過程で考えることにきりかえ,球への到達時刻を求める作業に入ったが,平行移動に関するある種の普遍性がないために,本研究で開発した手法がそのままでは使えないことがわかった. さらに,確率解析を用いた手法を試みたが,ずれをもつベッセル過程の到達時刻を考えることになり,これも本研究で開発した手法では,研究を進めることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
多次元 Ornstein-Uhlenbeck 過程の球への到達時刻の表示を中心に研究を進める.この確率過程は,ブラウン運動とランダムでない時間変更をもちいてあらわすことができることが知られている.このこととブラウン運動およびベッセル過程の性質を用いて,到達時刻の分布関数の表示を試みる.研究には,青山学院大学の松本教授や九州大学の谷口教授とも連携をしながら解決をはかる. また,ずれをもつブラウン運動の球への到達時刻の解析をポテンシャル論の立場から行うことが,暗礁に乗り上げていたが,Ornstein-Uhlenbeck 過程の場合には,有効となる可能性もあり,ポテンシャル論の方向からのアルプーチも考えたい. さらに,ずれをもつベッセル過程の到達時刻からのアプローチも引き続き行う.
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Research Products
(6 results)