2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540183
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
高村 博之 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (40241781)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非線形波動方程式 / 初期値問題 / 古典解 / ライフスパン / 高次元空間 / 球対称解 / 解の表示 / 常微分不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究成果では、解の最大存在時間の上からの評価を行う際に、簡単のため初期位置をゼロと仮定して解析した。高次元による微分損失を避けるため、球対称解の各点評価による逐次代入法が基本となるが、そこで初期位置がゼロでない場合は基本解の時間微分が入るため手続きが煩雑になる。現在まで研究代表者と上坂洋司教授(日本大学)、若狭恭平博士(北海道大学学振PD)との共同であげた成果は、逐次代入法の枠自体を時間微分することによって従来の方法に適用させるものであり、初期速度がゼロであるものしか適用できなかった。今年度は球対称な基本解の決定的な表示を作ったM.A.Rammaha教授(ネブラスカ大学・アメリカ)を加え、初期位置と初期速度が両方ともゼロでない場合の解析を行った。解の表示を直接時間微分することにより失われる解の正値性や計算可能な評価の形を、被積分関数に時間変数を含まないようにする変数変換を発見したことにより回避することができた。結果は任意の初期値に対して成立するものではないが、初期位置から発生する負の量を初期速度の正の量で打ち消すことにより解の正値性を導出し、最終的に解の存在時間の上からの評価に繋げるものとなった。これは初期値の一般性に大きく広げたものである。その成果は論文にまとめて学術雑誌に投稿中である。 今年度のもう1つの研究成果は、汎関数法に解の最大存在時間の上からの評価を行う際に使われる、加藤の常微分不等式の補題を改良したことにある。それは半線形波動方程式に応用されるが、今までは単に解の存在時間が有限であるという事実しか証明できなかった。そこをリスケーリング法を用いて最大存在時間の評価を導くのであるが、その証明に小さな飛びがあることを発見した。それを修正するうちに上記補題自体を改良することができ、証明の手続きも大幅に簡略化することができた。これは非常に汎用性のある結果となった。
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Research Products
(13 results)