2013 Fiscal Year Research-status Report
実解析的側面からのウェーブレットと変動指数解析の研究
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24540185
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
出来 光夫 東京電機大学, 工学部, 助教 (80507179)
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Keywords | 変動指数Muckenhoupt条件 / BMOノルムの一般化 / 変動指数Herz空間 |
Research Abstract |
研究成果の1つは、変動指数によるBMOノルムの一般化です。2010年より変動指数をもつ関数空間でのBMO関数を伴う作用素の有界性の証明のために、この問題に取り組んできました。澤野嘉宏氏(首都大学東京)と筒井容平氏(東京大学)との共同研究により、変動指数の仮定をある程度弱く(Hardy--Littlewoodの最大作用素の変動指数Lebesgue空間での弱有界性が成り立つほど)しても、変動指数のノルムを使ってBMOノルムが表現できる事を示しました。 研究成果の2つ目は、変動指数によって一般化されたMuckenhouptのウェイトおよびそのウェイトをもつ重み付き関数空間の研究です。澤野嘉宏氏と中井英一氏(茨城大学)との共同研究により、変動指数型Muckenhouptウェイトをもつ重み付き変動指数Lebesgue空間における特異積分作用素の有界性を示しました。それを応用し、十分な滑らかさと減少度をもつウェーブレットを使ってこの空間と同値なノルムを与えて特徴付けて、無条件基底を構成しました。さらに、重み付き変動指数Lebesgue空間のウェーブレットによる特徴付けの成立、または無条件基底の構成が可能である事が、変動指数型のMuckenhoupt条件と同値である事も示しました。 研究成果の3つ目は、変動指数Herz空間の解析です。これまでHerz空間の3つの指数のうち、積分に関する指数のみが変動する場合について様々な作用素の有界性を調べて来ました。野井貴弘氏(首都大学東京)と共同で、全ての指数が変動する場合の研究に取り組んでいます。その第一歩として、適当な条件が仮定された指数に関する変動指数Herz空間の双対性を明らかにしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重み付き変動指数Lebesgue空間のウェーブレットによる特徴付けと基底の構成の過程で、様々な事実を示す事ができました。変動指数型Mucekenhoupt条件の同値な書き換えや、重み付き変動指数Lebesgue空間における特異積分の有界性やベクトル値不等式の結果などは、今後他の重み付き変動指数関数空間の解析にも役立てる事ができます。 また、全ての指数が変動するHerz空間の双対性についても、この空間における種々の作用素の有界性の証明やウェーブレットによる特徴付けなどへの応用が期待できます。
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Strategy for Future Research Activity |
BMOノルムの一般化について、変動指数に限らず、より広い関数空間のノルムの枠組みで研究する計画です。そして、BMOノルムを介した関数空間の特徴付けの手法を確立したいと考えています。 変動指数型Muceknhouptウェイトと重み付き変動指数Lebesgue空間の研究でこれまでに得た結果は、Sobolev空間やHerz空間といった他の重み付き変動指数関数空間にも応用ができます。こういった関数空間においても作用素の有界性、ウェーブレットによる特徴付け、基底の構成などに取り組む方針です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者との研究打ち合わせについて、出張した研究集会や学会の場所などを利用したり、私の大学に来て頂いて議論する場合が多く、自らの出張機会および出張旅費が少なかったため。 国内外での様々な研究集会や学会に可能な限りたくさん参加し、研究成果を発表するために使用する。また、遠く離れた大学に所属する研究者たちとの研究打ち合わせにも使用する。
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Research Products
(7 results)