2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540189
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岩崎 千里 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 特命教授 (30028261)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放物型方程式 / 基本解 / Nilpotent リー群 / subelliptic 作用素 / 解析接続 / Kohn-Laplacian / 国際研究者交流,ドイツ、USA,台湾 / スペクトルゼータ函数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Grushin型と呼ばれている退化した楕円型方程式の基本解を、変形ベッセル函数を有効に使う事により、具体的に記述することに成功した。2次で退化する場合については良く知られていたが、高次の退化する場合には統一的な方法は知られていなかった。さらに、助変数を含むより広い作用素にもこの手法を拡張して、その解析接続を考察する事により基本解を得た。これらをKohn-Laplacian と呼ばれる複素函数論と密接な関係がある退化した楕円型作用素にも適用できることを示した。これらの結果は2編の論文に纏めて、2015年に出版した。 幾何学的、解析的不変量を具体的に決定出来る多様体の一つのクラスに巾零多様体がある。その中でHタイプ群は、もとになるクリフォード代数が正定値二次形式に対応するもののみに考察が限定されていた。これを一般の符号を持つ二次形式に対応するクリフォード代数にまで拡張しても、2ステップ巾零リー群(一般型Hタイプ群)の各格子に対応する巾零多様体上には自然なサブリーマン構造があり、本研究主題の一つである劣楕円型作用素のスペクトルゼータ函数が存在することがわかる。平成26年には、そのうちでも標準的格子に対する巾零多様体のある場合についてスペクトルゼータ函数を決定するとともに、この研究対象がスペクトルは一致するが、幾何学的構造の異なる多様体を含むことを示した。これらの結果は、論文として纏めて投稿中である。 研究期間全体を通して種々の作用素の基本解の構成について考察し、その表示を応用することにより、固有値やスペクトルゼータ函数の特異点の解析を得た。その考察対象とする作用素は、Fokker-Planck 作用素、球面上の subelliptic 作用素、Nilmanifold 上のsubelliptic 作用素と巾広く取り扱った。それらの結果は、合計6編の論文として出版した。
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Research Products
(5 results)