2013 Fiscal Year Research-status Report
非可換調和解析における特異積分論の新たな展開ー表現論的手法と実解析的手法の融合
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24540191
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河添 健 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (90152959)
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Keywords | 実ハーディ空間 / 特異積分 / 有界性 / 離散ラドン変換 / 逆変換公式 |
Research Abstract |
平成25年度の成果は、ヤコビ解析における面積作用素Saの(H1、L1)有界性の評価の改善と、離散ラドン変換に対する新しい逆変換公式の発見である。 前者はSaのパラメータaを1/3から1/2へと改善した。とくに移動作用素の積分核評価を用いることにより評価式を改善することができた。ユークリッド空間の場合はa=1にとれるので、まだ開きがあるが、現実にはヤコビ解析の場合、a=1/2が最適値と感じている。これはヤコビ解析におけるH1実ハーディ空間の定義と面積作用素Saの定義の整合性の問題であり、ヤコビ解析においてa=1にするにはH1空間の定義を強くする必要がある。あるいはSaの定義式を見直す必要がある。(L2,L2)有界性に対してはa=1にとれ、(H1,L1)有界性に対しては、このようにa=1/2が限界であることは、ヤコビ解析の特長を表している。この現象とKunze-Stein現象とのつながりを探ることが課題の1つであったが、この発見には至らなかった。また(H1,L1)有界性を得るには、Saの定義式に若干の工夫が必要であり、この部分を落とすことも今後の研究課題である。以上、S1/2の(H1,L1)有界性および補間法による(Lp,Lp)有界性, 1<p≦2、は平成25年度の成果である。 後者の離散ラドン変換の研究は、離散実ハーディ空間の研究から派生したものである。従来の逆変換公式は、傾きが大きな超平面でのラドン変換値に注目し、その傾きを無限大にすることによって得られた。今回、この無限大をいかにゆっくりとするか、言い換えると台が有限な関数に対して、いかに小さな傾きを使って逆変換を得ることができるか、を考えてみた。これらの離散ラドン変換は等質空間Znでの解析であるが、これをヤコビ変換と同様な非等質なZn、重みつきZn空間での解析に拡張することは今後の研究課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに達成しているが、Kunze-Stein現象との関連は未達成である。この課題自体は誰も手を付けていない課題であり、非常に挑戦的なテーマである。容易に答えや成果は得られないであろうと覚悟はしていたので、その意味では想定内である。また離散ラドン変換に関する研究は、関連する話題として新たに生じたテーマであるが、おおむね想定される結果を得ることができた。 面積特異積分の評価を精密化できたこと、およびその結果がユークリッド空間の場合の完全な類型でないことは、ヤコビ解析を特徴付けるものとして注目に値する。ここ数年、Dunkl変換に関して多くの成果が発表されているが、結果はすべてユークリッド空間の場合の完全な類型であり、計算の複雑さのみしか新規性がない。これに対して本研究は、完全な類型を得ることが困難であることを示すものであり、ヤコビ解析の特異性の重要な例となるものである。指数型重み付き空間に関する調和解析において、ほとんど成果が無い中で、面積作用素の(H1,L1)有界性に関する成果は特筆に価すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の直接経費のうち、13万円弱が未使用となっている。これは招聘を予定していたDaher教授(ハッサンII大学、モロッコ)の来日が先方の学事上の都合で実現できず、延期したことによる。今年度は都合がつくとのことで招聘する。 本年度は他の特異積分作用素の(H1,L1)有界性と補間法を用いたLp有界性を調べる予定である。とくにヤコビ解析におけるCZO型の特異積分作用の理論を調べてみたい。さらに平成25年度からの継続課題として、Kunze-Stein現象と実ハーディ空間との関係を調べる予定である。方針としては、計算を直接行うことが可能なSU(1,1)などで具体的に計算し、その関係を探りたい。また離散ラドン変換についても、逆変換公式の精密化や重み付きの場合に拡張することを考えてみたい。 現在までの成果の公表と関連分野との交流を図る意味で、国際会議を開催する予定である。具体的には12月にモロッコで、日仏モロッコの三カ国間で調和解析の発展に関する国際会議を開催する。これに際し、数名の研究者を招聘する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
128,560円の残金が生じたが、これは平成25年度に招聘を予定していた海外研究協力者が先方の学事上の都合で来日できなかったことによる。 平成25年に招聘できなかった海外研究協力者を今年度招聘する。
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Research Products
(3 results)