2014 Fiscal Year Research-status Report
非可換調和解析における特異積分論の新たな展開ー表現論的手法と実解析的手法の融合
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24540191
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河添 健 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (90152959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヤコビ解析 / 特異積分作用素 / 有界性 / Kunze-Stein 現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤコビ解析における特異積分の有界性に関して、実ハーディ空間を定義することから研究を始め、H1-L1有界性を示すことができたが、2015年度の目標はKunze-Stein現象が有界性にどのように影響を及ぼすかを調べることであった。Kunze-Stein現象は結合積の有界性に関する特異な現象であるが、それが特異積分まで影響するかは興味深い問題である。本研究の特異積分作用素-最大関数など-は結合積からさらに積分や最大値を取るものであり、Kunze-Stein現象を特異積分作用素へ拡張することは困難を要することが分かった。このことに関しては2016年度においてさらに研究を続ける予定である。今年度の成果としては、この研究の準備ともいうべき過程で、Kunze-Sten 現象の新たな証明を見つけたことである。特異積分作用素の有界性を得るために、結合積を通常のユークリッド空間の結合積に帰着させる方法を用いたが、その手法を用いて、Kunze-Sten現象が従来よりはより容易に証明できることが分かった。さらにこの手法はHardy-Littlewoodの最大関数の弱L1有界性の証明にも有効であることが分かった。従来からその証明は複雑であり、見通しが悪かったが本研究で得られた証明は非常に簡単で見通しが良い。これらのことからもKunze-Sten現象を結合積以外の特異積分作用素へ拡張することは興味深いデーマであり、2016年度において積極的に研究したい。ところで本研究で用いる結合積をユークリッド空間の結合積に帰着させる手法の本質は、ヤコビ変換の反転公式にある。従来の反転公式は積分変換として記述することが主であるが、本研究ではラドン変換の場合の類型として、微分作用素で記述することがポイントなる。これにより従来のいくつかの証明が簡易化される。この手法の高次元化は非常に面白い課題である。今後はこの拡張を半単純リー群や対称空間の場合に考えていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kunze-Stein 現象を特異積分作用素まで拡張することには成功しなかったが、その道筋となるKunze-Stein 現象の新しい証明を見つけることができた。この意味ではおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
Kunze-Stein 現象の新しい証明方法により、特異積分作用素、とくに最大関数や Littlewood-Paley, Lusin 関数に対して、Kunze-Stein 現象あるいはその類型が存在するか調べたい。また 次年度に使用する残高は、日本で開催される国際会議に外局の研究協力者を招聘するために使う予定である。
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Causes of Carryover |
2015年12月の国際会議に外国人3名を招聘する予定であったが、国際会議が集めた資金および各研究者の所属研究機関の資金で招聘が可能となった。そのため予定していた招聘費が必要となくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年夏に予定されている日本で行われる国際会議に、中国の研究者を招聘する予定である。そのための費用として使う予定である。
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Research Products
(4 results)