2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
厚地 淳 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00221044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有理形関数の値分布論 / 正則拡散過程 / ネヴァンリンナ理論 / 複素葉層構造 |
Research Abstract |
平成24年度は、主に研究目的に述べた問題1:複素葉層構造を持つ多様体上の有理形関数の値分布に関する研究を行った。まず第1段階として、「i) 葉層構造を持つ多様体がコンパクトで、各葉は滑らかなケーラー多様体であり、ケーラー計量およびそのすべての微分が多様体全体では連続である場合」について研究する計画であった。この場合については、当初の計画通りに各葉上の有理形関数で全体ではボレル可測になっている関数(葉に沿った有理形関数と呼ぶことにする)の値分布について次のような結果を得ることができた。すなわち、調和測度に関してほとんどすべての葉の上では、非定数の葉に沿った有理形関数は対数容量正の集合を除外できないこと(Casorati-Weierstrass型定理)を示した。さらに、ネヴァンリンナの第2主定理型の定理を得ることができた。これより調和測度がエルゴード的である場合には調和測度に関してほとんどすべての葉の上では、非定数の葉に沿った有理形関数は、有限個の点しか除外できないことがわかった(Picard型定理)。 さらに、我々の方法は各葉が必ずしもケーラー多様体でない場合、すなわちエルミート多様体であることのみを仮定しても機能することがわかった。上で述べた結果は、各葉がエルミート多様体であるという仮定の下でおおむね成り立つ。 また、研究計画では、第2段階として、「ii)第1段階の場合を拡張し、ケーラー計量およびそのすべての微分が多様体全体ではボレル可測である場合への拡張」も検討する計画であったが、これもほぼ拡張可能であることがわかった。さらに、平成25年度以降の計画として、第3段階 「ii) を拡張し、各葉が特異点を持ちうる場合」を考察する計画であるが、各葉が双曲的リーマン面の場合には、適当な拡散過程を構成することにより、我々の方法が適用可能であることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、平成24年度の研究計画の本研究の第1、第2段階は達成できたと思われるので、順調であるといってよいであろう。また、24年度の研究で第3段階「ii) を拡張し、各葉が特異点を持ちうる場合」や種々の応用についても展望が開けている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、第3段階「ii) を拡張し、各葉が特異点を持ちうる場合」について研究する。研究実績でも述べたように、各葉が双曲的リーマン面の場合には、適当な拡散過程を構成することにより、我々の方法が適用可能であることも分かったので、この方向で研究を推し進める。さらに、我々の方法の応用として、有理形関数の値分布だけではなく、葉自体の分布についても考察できることがわかった。これは、幾何学的にはより興味を引くであろうと思われる問題なので、これについても検討する。具体的には、複素射影空間内の複素葉層構造を考え、各葉が超曲面とどのくらい交わるかということについて考察する。複素射影空間では高次元(複素次元3位以上)の場合は、非特異の複素葉層構造を見つけ出すことは難しいことがわかっているので、主に特異の場合を考えることになる。この際にも前述した第3段階の研究が役に立つと思われる。 一方、申請書の研究の目的で述べた、問題2:複素ユークリッド空間の非有界領域における劣調和関数の性質、有理形関数の値分布に関する研究についても取り組む。これについては劣調和関数のL1-Liouville 型定理とも関係するので、この研究も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は研究は進展したが、成果発表の機会は必ずしも多くなかった。本研究は新しい分野であるので、多くの研究者の意見を聞くことが重要である。このため、国内外のセミナー等で発表するために(国内・国外)旅費を使用する。特に、海外には複素解析学と葉層構造、両方に精通した有力研究者がいるので、これらの研究者が参加する研究集会などに積極的に参加し、我々の研究について議論し、意見を交換したいと考えている。このためにも国外旅費を使用する。また、このほか発表のための資料制作やプレゼンテーションのために使用するコンピュータの環境を整備するために関連する消耗品などに研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)