2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540192
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
厚地 淳 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00221044)
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Keywords | 有理型関数の値分布論 / 正則拡散過程 / ネヴァンリンナ理論 / 複素葉層構造 |
Research Abstract |
平成24年度に引き続き研究課題に挙げた問題1の複素葉層構造を持つ多様体上の有理型関数の値分布に関する研究を行った。特に、研究段階3の葉層構造が特異点を持つ場合について、次の結果を得た。複素葉層構造としては、各葉が双曲型リーマン面になっているものを考える。特異点は線形化可能なものを考える。考える写像は、従来考察していたものより値域を拡張して、各葉上では正則なm次元複素射影空間への非退化なボレル可測写像とする。このような写像の像と値域の複素射影空間の一般の位置にある超平面との交わりを考察した。m=1の場合が従来研究していた有理型関数の場合である。まず、このような写像に対して葉層構造を定義する調和カレントを用いてエネルギーを定義した。これを用いることでネヴァンリンナ理論における欠如関係式を得た。これより、写像が除外できる超平面の枚数の上限がこのエネルギー用いて評価できる。特に、エネルギーが無限大の場合、除外できる超平面の枚数は高々m+1枚であることがわかる。また、コンパクトな複素葉層構造を持つ多様体の場合の有理型関数の値分布について平成24年度の研究を拡張し、各葉が非ケーラー多様体の場合を考察し、エネルギー有限な関数の除外値の個数は有限個になること、エネルギー無限大の場合は、条件つきではあるが、高々2個になることを示した。研究課題2については、我々の手法により既知のL1-Liouville定理をカバーできることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題1の複素葉層構造を持つ多様体上の有理型関数の値分布については、当初予定していた研究最終段階の特異点を持つ場合についても成果が得られており、おおむね順調といえるだろう。また、研究課題2についても計画したような一定の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1の複素葉層構造を持つ多様体上の有理型関数の値分布について葉層構造を持つ多様体がコンパクトで各葉が非ケーラーでかつ関数がエネルギー無限大の場合、条件つきで除外点の個数が高々2であることを示したが、この条件が外れるかどうかを検討する。これにより、研究課題1については当初目標とした成果が得られることになるので、一応完結する。余力があれば、非コンパクトな場合や特異点がより一般な場合について考察する。研究課題2では、既知のL1-Liouville定理を包含する形でまとめている。その他に、値分布論で重要な役割を果たす対数微分の補題を領域上の有理型関数に我々の拡散過程の手法を用いて拡張できることがわかってきたので、これらについてもまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外旅費に使用する計画であったが、状況の変化により、また、国内における研究集会への参加の必要があり、海外における研究連絡を一部次年度に移し、国内旅費に切り替え使用したため支出が少なくなった。 平成26年度では、イギリスでの研究集会の参加と平成25年度にできなかったイギリスにおける研究連絡を計画しており、国内外の旅費に主に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)