2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540196
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤家 雪朗 立命館大学, 理工学部, 教授 (00238536)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レゾナンス / 準古典極限 / WKB解析 / 超局所解析 / シュレディンガー作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究内容は、主に次の3つである。 まず、単独のシュレディンガー作用素のレゾナンスの準古典分布について、対応する古典力学系の捕捉された軌道の集合が、複数の双曲型平衡点と、それに付随するホモクリニック軌道、ヘテロクリニック軌道からなって有向グラフをなす一般的な状況での研究である。各平衡点に対して「減衰指数」が自然に定義されるが、この和が最小であるような周期グラフが、実軸に最も近いレゾナンスの分布を決定すること、さらにシュレディンガー作用素の場合、そのような周期グラフは常に一つのホモクリニック、あるいはヘテロクリニックな軌道であることを理解した。この結果は、それまでの一連の結果とともに一本の論文にまとめている最中である。 第2は、連立のシュレディンガー作用素のレゾナンスの準古典分布である。次元は1とし、二つのポテンシャルの交差するエネルギーの近傍でのレゾナンスの量子化条件、特に虚部の漸近的挙動を調べている。一歩のポテンシャルは井戸型であるとしており、その井戸が生成する固有値(Bohr-Sommerfeldの量子化条件を満たす)の近くにレゾナンスが存在することが推測されるが、虚部は準古典パラメータの5/3のオーダーであると予想している。現在厳密な証明を与えつつある。 最後は、Zakharov-Shabat方程式の固有値の漸近分布、および反射係数の漸近展開の研究である。これは、defocusingな非線形シュレディンガー方程式の初期値問題を逆散乱法によって解く過程の一つで、今まで厳密な方法が知られていなかった部分を、完全WKB法を用いて厳密に証明するのが目的である。この研究は今年度も継続して行う。 その他、前年度に投稿した論文"Time-independent approach for the study of the spectral shift function and an application to Stark hamiltonians" の掲載が決定した。
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Research Products
(6 results)