2014 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブレット解析の応用における数学的基礎付けと関連する諸問題
Project/Area Number |
24540197
|
Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
萬代 武史 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10181843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦野 隆一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80249490)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ウェーブレット / スケーリング関数 / ヒルベルト変換 / 不確定性原理 / 信号源分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で,一般の直交スケーリング関数と直交ウェーブレット関数のペアにおいて,平行移動の一種の変形であるユニタリ作用素の族を定義し,これをスケーリング関数に作用させたものと,ヒルベルト変換の拡張である分数べきヒルベルト変換(fractional Hilbert transform)をウェーブレット関数に作用させたものとが,再びMRA理論に基づくスケーリング関数とウェーブレット関数の自然な対応をなすこと,およびこれらの作用素を作用させたものの局在性について,証明を完成させていたが,これらの結果を双直交ウェーブレットの場合に拡張し,やはりウェーブレット関数の分数べきヒルベルト変換に対応するスケーリング関数が上記ユニタリ作用素で得られることを明確にした. また,上の結果を具体的な双直交ウェーブレットに対して適用し,N分木離散ウェーブレット変換に応用した.実際の応用ではフィルタ係数が重要であるが,上記で得られたスケーリング関数やウェーブレット関数に対応したフィルタ係数を理論的に計算した.連携研究者の守本晃氏の協力により,シミュレーションも行った. ウェーブレット変換に関する不確定性原理については,関数(信号)のフーリエ変換において,正負の周波数を統合した片側幅に関する不確定性原理が重要なキーとなるはずであるが,残念ながら停滞している. 信号源分離については,上記N分木離散ウェーブレット変換を使って,平行移動を含んだ混合画像の場合に,具体的な画像でシミュレーションを行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウェーブレット変換の分数べきヒルベルト変換については,双直交ウェーブレットの場合に拡張することができ,ある程度応用もできた. 不確定性原理については停滞しているが,問題の難しさが明らかになってきつつある. 信号源分離については,ウェーブレットの分数べきヒルベルト変換とそれに対応するスケーリング関数を応用する試みがある程度うまくいっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
ウェーブレット関数のヒルベルト変換に関しては,定義したユニタリ作用素のより深い性質などについて考察する.特に同様の性質も持つ作用素の中で我々の定義したものの持つ長所より明確にしたい. ウェーブレットに関する不確定性原理については片側中心と片側幅を考えた場合のフーリエ変換の不確定性原理について更なる考察を行い,ウェーブレット変換の場合に応用する.その他,以下の課題について昨年度に引き続き考察を進める. 1. 解析信号を使ったエンベロープ・瞬間周波数の妥当性の検討 2. 帯域制限信号の空間と数列空間の同型性(サンプリング定理) 3. 離散ウェーブレット変換の平行移動不変性について 4. 信号源分離の原理について また,各種応用に現れる数学的問題(数学的にきちんと定式化・証明がされていない問題)について情報収集に努める.
|
Causes of Carryover |
海外出張に行く予定を取りやめ,大学での研究と国内での出張を重視したため,およびパソコン購入の時期を遅らせて次年度としたため,余裕が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな配分額100万円と合わせて,物品,旅費などに使用する.特に,パソコンの更新は新年度早々に行う.また,最初の予定より積極的に研究会に出席し,旅費に充てる予定である.
|
Research Products
(5 results)