2014 Fiscal Year Research-status Report
非線形移流拡散方程式系に対する爆発解と時間大域解に関する研究
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24540201
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木場 正城 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60291837)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 移流拡散方程式系 / エントロピー / 2次モーメント / シャノンの不等式 / 有限時間爆発解 / 初期値問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,平成25年度の期間に多成分の空間2次元移流拡散方程式系の初期値問題に取り組み,重み付L2関数空間上でその時間局所可解性と有限時間爆発解の存在を示した.つづいて平成26年度の本研究では,多成分の空間3次元移流拡散方程式系の初期値問題に対する時間局所可解性と有限時間爆発解の存在について取り組んだ.その可解性については,移流拡散方程式をそれぞれ積分方程式に変換しKurokiba-Ogawa(2008)の結果を適用する.それぞれの積分方程式からLpかつ重み付L2空間なる関数空間と対応するノルムを組み合わせ,Banachの不動点定理より,解の存在,一意性,初期値連続依存性を証明した.またこの空間3次元移流拡散方程式系の初期値問題は解の正値性保存,解のL1ノルム保存性,エントロピー有界性が成り立つ.Corrias-Parthame B-Zaag (2004)は,シンプルな空間3次元移流拡散方程式系の爆発解を示すために,2次モーメントの時間発展の不等式を使って,解が有限時間内に爆発する初期値の条件を示すことに成功した.本研究では小川卓克氏(東北大)とともに彼らの結果を再考し新しい結果を得た.われわれの重要な成果は,方程式のそれぞれの解のエントロピー汎関数について,情報理論で用いられるFisherの不等式の離散エントロピーの連続化を行ない,エントロピー評価式を導いた点である.得られた式は,エントロピーを評価する項が,関数のL1量とMassの中心を基準とした2次モーメントで表現された真数の対数関数との積の形で表現させる.これら得られた条件式を使って解の2次モーメントの時間発展の不等式から,スケール不変な解の有限時間爆発に対する初期値の新たな条件式を導いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形移流拡散方程式系について共同研究者との研究打ち合せが順調に行なわれた.また学会,研究集会に出席し,非線形偏微分方程式の研究者と情報交換を行い,非線形移流拡散方程式系の最先端研究を行なう事ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
走化性粘菌のKeller-Segel 方程式に代表されるdrift-diffusion 方程式系の空間2次元の問題は,初期値-境界値問題は爆発解の研究がさかんに行なわれており,爆発解の特異性,爆発点の有限性,爆発解に関する初期値の閾値等の情報が示されてきた.Nagai-Senba-Suzuki(2000),Senba-Suzuki(2001)は単純化された走化性粘菌方程式の空間2次元初期値境界値問題に対する爆発機構の研究を行っている. 研究代表者は,本研究において,平成25年度に多成分の空間2次元drift-diffusion 方程式系の時間局所可解性と有限時間爆発解の存在を示した.さらに平成26年度の本研究では,多成分の空間3次元drift-diffusion 方程式系の初期値問題に対する時間局所可解性と有限時間爆発解の存在について取り組んだ. そこでこの経緯から,多成分のdrift-diffusion 方程式系の初期値問題に対する爆発解の爆発機構について研究を行う.そのため,共同研究者である小川卓克教授(東北大学大学院理学研究科)、鈴木貴教授(大阪大学大学院基礎工学研究科)との非線形移流拡散方程式系の爆発解の爆発機構に関する研究について詳しい研究打ち合せ及び情報交換を行なう.さらに本研究と関係のある非線形偏微分方程式の国内および国際研究集会,定期的に行なわれるセミナーに出席し,成果発表,研究者との討論,情報交換を行なう.また室蘭工業大学において参加者10名から20名規模の研究集会を企画し,非線形偏微分方程式についての最先端的な情報収集を行なう.
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Research Products
(7 results)