2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂井 秀隆 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (50323465)
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 差分方程式 / 特殊函数 / 超幾何函数 |
Research Abstract |
N. Katz による Fuchs 型方程式の中間畳込みの理論に対して,その q 差分類似を考察してきたが,これについてようやく最終的な計算が終わった(山口雅司氏との共同研究). 十分に一般の場合の考察はすでに終わっていたのであるが,線型差分方程式を連立1階の形に書いたときの係数を多項式と見たときの単因子の型が特殊な場合も含めて,Fuchs 型微分方程式に対応していると思われる部分については,今回の計算にすべて含まれている.いま,論文の形にまとめているところで,書けしだい出版したい. 微分方程式論においては,Katz の結果により,単なる変換の理論に留まらず,線型方程式の分類理論,モジュライ理論に関係する広い領域における簡明な理解が得られている.今回の結果を受けて,Fuchs 型に対応する線型 q 差分方程式において,同様の分類理論を構築する足場を完成することができた.大きな視界が開けたところであり,今後この方向での研究を続けていきたい. その他,1.フックス型方程式の変形理論に付随する4次元パンルヴェ型方程式の分類(ガルニエ系,藤・鈴木系,笹野系,行列パンルヴェ系の4種類),2.非分岐な線型方程式に付随する4次元パンルヴェ型方程式の分類(22種類)(川上氏,中村氏との共同研究),3.シンプレクティック構造を用いたシュレジンガー変換の離散ハミルトン系としての記述(A. Dzhamay氏,竹縄氏との共同研究)の論文を以前より投稿中であるが,いずれも掲載には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回得られた山口氏との線型 q 差分方程式の変形理論における結果は,方程式の分類理論に向けて重要な意味を持つと思う. また,筆者と川上氏,中村氏で行ってきた4次元の Painleve 型方程式の分類への試みは,周りの研究者にもいい影響を与えていると思う.鈴木氏の 6 次元の場合の計算は,その直接的な拡張だが,それ以外にも,川上氏,広惠氏,山川氏,竹村氏などの不確定特異点を持つ微分方程式の研究についても,相互にいい影響を与えていると思う.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の3項目に「解となる超越函数の解析的性質の研究」という項目を挙げたが,この問題に関して,数年前に発表された Gamayun, Iorgov, Lisovyy (2012) による論文が,重要な意味を持つということが分かってきた.これは,c=1 の場合の2次元共形場理論を用いて,パンルヴェ方程式の解を記述するというものである.筆者の想定していたものとは違うのであるが,目下,この理論を勉強して,次なる発展につなげたいと考えている. これ以外の内容については,研究を遂行するにあたっての方法において,特に大きな変更が必要ということはない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014 年度に旅費として使うために残してある. 2014 年度に研究集会のための国内旅費として使う.
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Research Products
(3 results)