2013 Fiscal Year Research-status Report
空間非一様な反応拡散方程式系がうみだす遷移層の解析
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24540207
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 主恵 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (10318800)
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Keywords | 反応拡散方程式 / 特異極限 / 遷移層 / 国際研究者交流(中国) / 国際研究者交流(フランス) |
Research Abstract |
Thomas Nagylaki(2011)による遺伝子頻度のモデルについて研究する.このモデルは非線形の反応拡散方程式で表され、2種の対立遺伝子A1,A2の優性の度合いが空間的に非一様な状態を記述するモデルである.このモデル方程式の解のダイナミクスに興味があるため定常問題の解(定常解)を数えつくす.平衡状態を表す定常解の集合の全体像が分かれば非線形反応拡散系の解のダイナミクスについてかなり詳しい情報をえることができる.考える領域を1次元区間とし、この遺伝子頻度のモデルに現れる遷移層の解析、定常解の安定性と多重度について研究をおこなった.拡散係数を微小とした条件のもと以下のような結果がえられた。第1の結果は多重遷移層をもつ定常解が存在することを優解劣解の方法を用いて証明した。解は環境の空間非一様性をあらわす変数のすべての0点の近くで遷移層を持つ。第2にこの方程式のすべての定常解の詳細な評価を得ることにより定常解の形状は3つののタイプに分類できることがわかった。第3に第1で構成した定常解は線形安定であることを示した。ここで値 H を導入する.値 H とは、環境の空間非一様性を表す変数を領域全体で積分した量である。最後に、H>0ならば写像度の理論を用いて、第1の定常解が唯一の定常解であることを証明した。すなわちH>0ならば定常解の集合はこの多重遷移層をもつ定常解1つであることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想していた結果を証明することができ、現在論文執筆中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を空間多次元の場合に拡張すること。空間多次元の場合は解の形状が複雑になるため空間1次元の場合には成り立ったことが多次元では成り立たないということが多々ある。また有効な数学的手段も限られる。まず多次元の場合にはどれだけのことが得られるのかしっかりと整理し、そのうえで多次元の場合の困難を克服し一意性を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度予定していたパリ南大学のダニエル・ヒルホスト教授の招へいがヒルホストの都合により今年度にずれ込んだため パリ南大学のダニエル・ヒルホスト教授を招へいする
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