2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540212
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鄭 容武 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314734)
|
Keywords | 可微分力学系 / 大偏差原理 |
Research Abstract |
一次元可微分力学系の大偏差原理について、当該年度以前までに得られていた結果をさらに改良することができた。 慶應義塾大学の高橋博樹氏、チリ・カトリック大学の Juan Rivera-Letelier氏との共同研究により、多峰写像力学系において、特異値での微係数の絶対値が時間発展によって無限大に発散すれば、特異軌道の緩回帰性に関する条件を仮定しなくても大偏差原理が成り立つことがわかった。この結果は、大偏差原理が一次元カオス力学系の広いクラスについて成り立つ自然な概念であることを示している。また、この結果は、非一様双曲型力学系の確率論的な性質を調べるための常套手段である回帰時間関数によるタワー拡大の手法を用いない、新しい手法によって得られている。 当該年度に得られた一次元可微分力学系の大偏差原理に関する結果を基にして現在論文を執筆中であり、早稲田大学、慶應義塾大学、広島大学にて開催された研究集会において講演を行った。また、中国・上海交通大学にて開催された国際会議 "The Second Pacific Rim Mathematical Association Congress" において"Large deviation principle for chaotic dynamical systems"という表題で講演を行った。 もうひとつの研究課題である力学系のマルチフラクタル解析についても、一次元の場合を中心にして研究を推進中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次元力学系の大偏差原理の成立に関する問題は、ほとんど理想的な形で解決することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
関連分野の研究を行っている国内外の研究者との情報交換、連携を強化する。7月にフランス・マルセイユにて開催される国際研究集会 "Limit theorems in dynamics and applications" に参加してこれまでの研究成果について発表し、情報収集や参加者との議論を行う。その他、国内外にて開催される関連分野の研究集会、セミナー、勉強会に積極的に参加する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機環境の整備において端数が出た。 次年度の旅費および図書購入費等に充当したい。
|
Research Products
(5 results)