2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540216
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
飯田 雅人 宮崎大学, 工学教育研究部, 教授 (00242264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 広和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90251610)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 漸近解 |
Outline of Annual Research Achievements |
反応拡散系は複数の成分の拡散と非線形相互作用を表す連立偏微分方程式系である。反応拡散系には、非線形項の形やパラメータの値によっては、特徴的な形状をした解が存在することが、多くの数値実験から示唆されている。本研究では、これらの特徴的な形状をした解のうち、角遷移層(解の勾配が急激に変化する薄い層)や内部遷移層(解の値が急激に変化する薄い層)を持つ解に対し、その形状を精密に近似する漸近解の理論的な構築手法の確立を目指した。 角遷移層が現れる複数の反応拡散系に対し、角遷移層内だけを局所的に近似する形式的な漸近解と、角遷移層の外側だけを精密に近似する形式的な漸近解を別々に構築し、それらを接合するという方針(接合漸近展開法)のもとで、これらの反応拡散系に共通に現れる解構造を検討した。その結果、角遷移層の厚みを形式的にゼロに近づける特異極限において、これらの反応拡散系はどれも角遷移層の外側では特定の自由境界問題に帰着されることが明らかになった。その成果および関連する解構造に対する考察を、解説記事として査読付き雑誌に発表した。また、接合可能性の証明には至らなかったものの、その準備として角遷移層型定常解に対する線形化固有値の挙動を詳細に調べた結果、より一般の移流反応拡散方程式も含む複数の反応拡散系に対し、特徴的な形状をした定常解たちの構造が明らかになった。引き続き実施する新たな研究課題の中で、非定常解に対する線形化固有値の挙動を調べ、接合可能性の証明を目指す。 一方、角遷移層と同時に内部遷移層が現れる状況の漸近解を構築するため、反応項を二成分のべき乗形に単純化した二成分反応拡散系に対し、相互作用の次数をさまざまな値に取り替えて、遷移層の移動速度の変化を調べた。その結果、次数に応じて、移動速度は有限値のみならず無限大にもゼロにもなり得ることが明らかになり、この事実に対する部分的な証明を与えた。
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Research Products
(8 results)