2016 Fiscal Year Annual Research Report
Free boundary problems of PDEs with degeneracy-singularity
Project/Area Number |
24540218
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 慎吾 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00333021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一般化三角関数 / p-Laplacian / 完全楕円積分 / 算術幾何平均 / Legendreの関係式 / 超幾何関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般化三角関数は退化拡散作用素の典型であるp-Laplacianの固有関数であり、三角関数の一般化としてよく知られている。またその周期を表す量として一般化円周率がある。本年度はそれらの性質を調べたり応用を考えることによって、p-Laplacianに関する問題にこれまで知られていなかった知見を与えることを目的として研究を進めてきた。 本年度に得られた具体的な成果を述べる。まず、1パラメータの一般化三角関数については積分公式が知られていたが(Bushell-Edmunds, 2012)、これを2パラメータの場合へ一般化し、さらにWallis型の積分公式と一般化円周率に関する極限公式を導いた(大学院生との共同研究)。次に、2パラメータの一般化三角関数に関するMitrinovic-Adamovic不等式(E.Neumann, 2016)に対して、基本的な計算による別証明と新たな評価式を与えた(大学院生との共同研究)。また、第1種・第2種の完全楕円積分が満たす古典的なLegendreの関係式について、3パラメータの一般化完全楕円積分に関してこれを一般化することができた。実は超幾何関数の枠組みではこの式はEliottの恒等式として古くから知られていた。しかし本研究では、各項の超幾何関数を一般化三角関数を用いた一般化完全楕円積分のLegendre形式で表すことにより見通しの良い別証明が与えられただけでなく、一般化「不完全」楕円積分についてもこの種の関係式を見いだせる可能性があると考え、現在その解決に向けて研究を進めている。 本研究課題は退化特異性をもつ非線形微分方程式の自由境界問題に対する研究方法の開発を目標としてきたが、典型であるp-Laplacianの固有値と固有関数の性質について、楕円積分や超幾何関数との関係を含む多くの数論的な特徴を見出せたことは大きな成果であった。
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