2012 Fiscal Year Research-status Report
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24540222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岡 宏枝(國府宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 力学系 / 不変集合 / 分岐 / トポロジー / 厳密計算 / 全構造計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は申請書にあるように大きく分けて次の3項目である. (1) 位相的・計算的方法によって得られる情報から,どのように元の力学系のダイナミクスや分岐を理解するかについての理論的基礎の構築,(2) 位相的・計算的方法によって得られたMorse 成分の内部構造を解析できるようにこの方法を発展させること,(3) 更に,位相的・計算的方法で扱える力学系の範囲を拡大すること; このうち,(1) については,大域的な分岐構造として重要なものとして,バウンダリー・クライシス,インテリア・クライシスが,位相的・計算的方法の計算をするソフトcmgraphでどのように扱われるか,また,それに関する理論的な成果として不変集合間のイプシロン擬軌道の存在という形で定式化した(論文[1]),この他に,局所的分岐として重要であるサドル・ノード分岐に関して理論的な結果を得ている(論文[2]).また,パラメータ空間をある点の周りに1周するときに,cmgraphの出力としては分岐が起こってないが,不変集合間の入れ替わりが起こる現象(「モノドロミー」と名付けた)について,その具体例の構成と1周するループの中に分岐集合が存在することをcovering homotopy propertyを用い示し研究集会で発表した. (2) については,海外の共同研究者であるPilarczyk氏の結合振動子系の計算があるもののあまり進展していない. (3) は,理化学研究所の望月敦氏,ベルリン自由大学のB. Fiedler氏の協力を得て,遺伝子発現に関する方程式系のデータから不変集合をcmgraphで見つける試みを始めている.これは,時系列データからだけでは見つめるのが困難な不安定な不変集合を捉え,系の相空間の全構造を捉えることができると期待する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の(1)については,順調であるが,(2)については,海外の共同研究者であるPilarzyk氏の結合振動子系の計算が得られているもののあまり進展していない.(3)については年度の後半から計算を始め現在進展中である.(2)があまり進展していない理由としては,P. Pilarzcyk氏,M. Gameiro氏との連絡があまり取れなかったことが大きな理由であると思われる.また,(3)の計算は申請者が実行しているが,まとまった時間がなかなか取れないので,進展がとても順調という訳ではない.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については,クライシスのより一般的な場合について論文をまとめる.モノドロミーについては,位相的・計算的方法に親和的な分岐理論の新しい捉え方を含んでいると考える.そのために,今回得られた例より一般的な(余次元の低い)具体例を探し,一方で理論的アプローチを考える.(2)については,海外の共同研究者と連絡を密に取る.また,問題を絞り込み,申請者自ら計算を行う.(3)については,続行中である.また,現在,京大の大型計算機を使用しているが,本年度購入するコンピュータでの計算の環境を整える必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
この研究は2年目にコンピュータを購入する計画のため,2年目に他の年度より多くの研究費を申請している.B-A=31,599は,次年度のコンピュータの購入で少しでも性能の性能の良いものが購入したいと思う. 物品購入の他には,computational dynamical system and topologyに関する国際研究集会に8月,2月に参加予定である.
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