2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 耕司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50221825)
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Keywords | 天文 / 電波天文学 / 光赤外線天文学 |
Research Abstract |
赤方偏移が約1.5(90億光年)に存在する星形成銀河のALMAによる分子ガス(CO(5-4))観測のデータを用いて、スタッキング解析を行った。銀河の星質量や重元素量との相関を調べ、前者には相関がよく見られるものの、後者ではほとんど見られないことがわかった。また、最も強くCO輝線が検出された銀河については、詳細な解析を行い、銀河内で回転するガスが重力不安定性でクランプ状になったものである可能性が出てきた。この銀河については、JVLA(旧名E-VLA)を用いたCO(1-0)観測を行った。その他の弱い輝線天体については今後の解析が必要である。昨年度検出を行ったミリ波帯でのserendipitous sourcesの正体についても解析を進めた。これらの結果は、日本天文学会で発表を行った。 これと平行して、野辺山宇宙電波観測所45m望遠鏡を用いて、同じ時代に存在する星形成銀河の分子ガス量の上限を出し、またハーシェル衛星のデータからダスト量を出した。これらからガスダスト比の宇宙論的進化に制限をつけた。旧来の理論から予想されるよりずっと速いガスダスト比進化があったことがわかり、宇宙の早い時期にダストが大量に生成されていることが示唆された。論文として投稿中である。 銀河形態の研究については、結果の頑丈性を詳細に調べ、結果がサンプルのとり方などにあまり依存しないことを確認した。また、バルジとの関係も調べた。画像の眼視による調査の結果、高赤方偏移に存在するサンプル銀河に立派なバルジは見られなかったが、一方で赤方偏移が最も低いサンプルでも卓越したバルジが少ないことから、バルジの成長によって円盤が丸くなるというシナリオは妥当ではない可能性がでてきた。 この他、円盤銀河の形成と進化に関する国内研究会を主催し、多くの参加者を得て、成果発表だけでなく、多角的な知見も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ALMAで取得したデータの本格的な処理解析を行ったが、昨年度実績に書いたように「意外な驚くべき結果」が出てきたため、注意深くデータ処理解析のテストを行った。その結果、ALMAの観測データの処理解析に提供されている世界標準のデータ処理解析ソフトにバグやそこまで言わなくてもデータの取り扱いに整合性がない部分があること等を発見したり、データの情報に誤りがあることを発見したりと、観測やデータ処理ソフトの不具合をいくつも発見することとなった。ALMA観測所側でも対応が一筋縄ではいかない部分もあり、予想外に多大な時間がかかってしまった。ALMAコミュニティにはバグだしで相当な寄与したかもしれないが、研究の進捗状況という意味では予定より遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり、とりまとめに重点をおいて進める。 *ALMAのデータに関してはソフト上の未解決問題もあるが、おそらく主要なバグはなくなったと考えており、結果をまとめて学会発表や論文化を急ぐ。特に弱い輝線を示す銀河の解析をより丁寧に行う。また、JVLA(CO(1-0))のデータ処理解析に着手し、ALMAによる観測結果(CO(5-4))と合わせて銀河内でのガス分布とその性質を明らかにしたい。GEMINI望遠鏡によってこの秋にHαのデータが取得されれば、この処理解析を行い、ALMAやJVLAによる結果などと比較することによって、銀河の形成過程をその内部構造にまで立ち入って調べる。serendipitious sourcesの性質を理論モデルと比較して、その天体の正体に迫る一方、観測的にもフォロウアップ観測を提案し、少しづつその姿を明らかにしていきたい。 *野辺山宇宙電波観測所45m望遠鏡で今年度末に得たデータについては、データ処理を行い、これまでの結果とあわせてまとめこれも成果発表を行う。 *円盤銀河の形の進化については論文完成を急ぐ。 *これらを通じて激動期の銀河の進化の局面を明らかにするという当初目標を達成し、また同時に今後の研究課題に先鞭をつけたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」に記述したように、ALMAの標準データ処理解析ソフトにバグやデータに書かれている情報の間違い等のために研究が予想外に長引いている。このため論文化が遅れており、今年度は出版費がなかった。また、今年度も大学内での授業や会議が多く、なかなか研究のための討論や作業のための出張がままならなかった。 まだALMAのソフトの問題などあるため、相談の為の出張が多くなる可能性が高い。また結果の解釈などの討論のための旅費も必要で、多めの旅費確保が必要であると考えられる。また、今年度はずれ込んでいた論文出版費も見込まれる。干渉計のデータは大量であり、データストレッジなど計算機関連経費も必要と考えられる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] The mass-metallicity relation at z~1.4 revealed with Subaru/FMOS2014
Author(s)
Yabe, K., Ohta, K.,Iwamuro, F.; Akiyama, M.; Tamura, N.; Yuma, S.; Kimura, M.; Takato, N.; Moritani, Y.; Sumiyoshi, M.; Maihara, T.; Silverman, J.; Dalton, G.; Lewis, I.; Bonfield, D.; Lee, H.; Curtis-Lake, E.; M., E.; Clarke, F.
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Journal Title
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 437
Pages: 3647-3663
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Comparative Analysis of Virial Black Hole Mass Estimates of Moderate-luminosity Active Galactic Nuclei Using Subaru/FMOS2013
Author(s)
Matsuoka, K.; Silverman, J. D.; Schramm, M.; Steinhardt, C. L.; Nagao, T.; Kartaltepe, J.; Sanders, D. B.; Treister, E.; Hasinger, G.; Akiyama, M.; Ohta, K.; Ueda, Y.; Bogiorno, A., Brandt, W.N.; Brusa, M.;Capak, P.;Civano, F.;Comastri, A.;Elvis, M.; Lilly, S.J.;他9名
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Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 771
Pages: 64(9pp)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The Cosmic BPT Diagram: Confronting Theory with Observations2013
Author(s)
Kewley, L.J., Maier, C., Yabe, K., Ohta, K., Akiyama, M., Dopita, M. A., Yuan, T.
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Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 774
Pages: L10(6pp)
DOI
Peer Reviewed
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