2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60260410)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線 / 銀河面X線放射 / X線スペクトル |
Research Abstract |
銀河円盤領域の拡散X線放射の空間構造の調査を目的として、銀経が358.5、356度付近に注目し、拡散X線放射に付随する3本の鉄輝線(6.4/6.7/6.97keV)の銀河円盤を横切る方向の強度分布を調査した。その結果、6.7 keV輝線強度は銀河円盤から離れるにつれて緩やかに減少していくことを確認した。一方、6.4/6.97 keV輝線強度も銀河円盤から離れた地点では強度は減少するが、6.7keV輝線分布とはやや振る舞いが異なっている。また、輝線強度比は必ずしも一定ではない。今後、他の領域についても同様の解析を行い、比較したいと考えている。 銀河中心領域の拡散X線放射について、銀河中心の北側の領域における軟X線成分の空間構造を調査した。その結果、1-3 keVバンドのイメージには北側へのびる構造が見られた。今後、この構造とその周辺領域のスペクトルを詳細に調査する予定である。 銀河系内拡散X線放射との関連、および高温プラズマの物理過程を比較・検討するため、超新星残骸のスペクトルの解析を行った。G348.5+0.1、Kes27について、スペクトルと空間構造の解析を行い、いずれも中心集中した熱的X線放射が観測され、複合形態型超新星残骸の特徴を示すことを確認した。これらのX線スペクトルは、電離平衡状態、電離優勢状態のプラズマモデルでは再現できず、再結合優勢状態にあるプラズマからの放射のモデルで良く再現できることがわかった。また、すでに再結合優勢プラズマの存在がわかっているW49Bのスペクトルに対して再結合優勢プラズマのモデルを適用し、再結合優勢プラズマの温度や経過時間等の物理量を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い、銀河面拡散X線放射のスペクトルに見られる鉄の輝線強度に注目して、銀河円盤を横切る方向の空間分布の調査を進め、その結果、輝線によって空間構造に差異がある兆候を得た。順調に研究を進められていると判断する。また、銀河系内の拡散X線放射天体である超新星残骸に付随するプラズマの物理状態についての調査を進め、過電離状態にあるプラズマガスを持つ超新星残骸を新たに発見した。これらは、複合形態型超新星残骸の天体の進化過程の研究のための重要なサンプルとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し、銀河系内の広範囲にわたるスペクトルの調査、鉄輝線強度の空間構造の調査をしていく予定である。また、関連天体についての解析も継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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