2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 至順 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30386635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中性子星 / 磁場 / 振動 / 安定性 |
Research Abstract |
本年度は、振動と安定性の解析を行う前段階として、まず、より一般的な磁場星の平衡解を求めた。主な成果は次の二つである。 (1) 安定成層を考慮した相対論的な磁場星の平衡解 (2) 子午面内に流れがある場合のニュートン的な磁場トーラスの平衡解 (1) は、本研究課題を進める中で、星内部の磁場を強く安定化する効果として重要な流体の浮力の効果が、これまでの相対論的な磁場星の平衡解で考慮されていないという重要な問題点に気づき、この状況を解決する為に、磁場星中で成層流体を扱うための定式化及び数値解の計算を一般相対論の枠内で行った。得られた解は、これまでに求められている磁場星の解の中で最も安定であると考えられ、今後、具体的な安定性解析を行う予定である。 (2) は、これまで磁場星の構造に対する子午面流の効果が明確では無かったので、ニュートン力学の枠内で、その効果を詳しく解析した。流体の流れによるラム圧により、流体圧力が低くても平衡状態を維持できるため、星の半径が大きくなる事を明確に示す事ができた。 磁場星の振動、安定性に関しては、ニュートン力学の枠組みで、磁場を摂動的に扱った平衡解に対して、磁場がゼロになる極限(ゼロ振動数極限)での星の固有振動の振る舞いを解析するための定式化及び基礎方程式を数値的に解くための数値コードを開発した。得られた結果は、研究開始前の予想と異なり、磁場星の振動の支配方程式は、この極限で深刻な特異性を持つ可能性が高い事が分かった。この特異性により、回転星の振動に対して有効であったこの方法は、磁場星ではうまく行かない可能性が高い事が判明した。そのため、より対称性の高い自己重力を持つ磁場シリンダーでの振動及び安定性の解析などから、より基本的な磁気流体系の振動の性質を解明する必要がある事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の開始時点では、ゆっくり回転する星の固有振動の計算方法の一つであるゼロ振動数極限を用いた解析方法が有効であると考えていた。この方法では、星の回転がゼロの極限で、振動数が回転角速度に比例してゼロになる振動モードを上手く分離して、効率良く計算する事ができる。磁場星の場合も、磁場に固有の振動モードは、磁場をゼロにする極限で、磁場の強さに比例して振動数がゼロになるという性質で特徴付けられる。従って、回転星で使用されているゼロ振動数極限を用いた解析方法が磁場星の振動でも有効であると予想するのは自然である。しかし、その予想に反して、磁場星の場合は、この方法で用いる基礎方程式に深刻な特異性が現れ、解析が上手く行かない事が、予備的な解析で明らかになった。そのため、星の構造は多少異なるが、まず、より対称性の高いシリンダー状の自己重力磁気流体系の振動、安定性を解析し、基本的な性質を理解する事が必要であると分かった。この系では基礎方程式が常微分方程式系になるため、数学的な見通しが格段に良くなるのである。言い換えれば、当初の予想より、より基本的な問題から解析を始める必要がある事が分かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を開始する前に考えていたより問題が難しい事が分かったので、星に拘らずに、より対称性の高い問題の解析を行い。その性質を理解し、星の振動、安定性の解析を成功させるための足がかりを得たい。 自己重力を含む磁気流体系の固有振動の基本的性質が明らかになった後、ゼロ振動極限を用いる方法とは別の方法で、固有振動の解析を行う。ゼロ振動数極限を用いる方法では、通常の方法よりも強い特異性が出ると考えられるので、これを用いない方法でも解析を難しくする特異性が現れる可能性が高い。そのため、固有振動の性質の理解は、この解析を効率良く行うために必要になる。 また、固有値問題による解決が難しい場合は、時間発展問題を解く事に依る振動、安定性解析を行う。この場合にも磁場星の振動、安定性に関して十分な知見が得られると予想される。 磁場を含む星の平衡解に関しては、既存のモデルの中には、現実的なモデルとして考える事ができるほど十分に安定なモデルが存在しない可能性がある。そのため現実的に意味のある星の安定性解析を行うためには、より広い範囲で平衡解を求められる様にする必要がある。従って、磁場星の平衡解の研究も平行して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた磁場星のいろいろな平衡形状に対する安定性の数値解析の本計算開始を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した磁場星のいろいろな平衡形状に対する安定性の数値解析の本計算開始に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)