2012 Fiscal Year Research-status Report
格子ゲージ理論による標準模型の定式化と複素作用系の数値シミュレーション法の検討
Project/Area Number |
24540253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 芳夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20252421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 格子ゲージ理論 / モンテカルロシミュレーション / 符号問題 |
Research Abstract |
格子Glashow-Weinberg-Salam 模型では,そのカイラルなゲージ結合の性質のため,作用が複素数部分をもつ.このため,いわゆる符号問題のために,通常のハイブリッド・モンテカルロ法等はそのままでは適用できない. 複素位相の有効作用を持つ系の数値的なシミュレーション法として,系の経路積分を複素数積分経路に拡張し,特にLefschetz thimble 上に積分経路を取ることで作用を実数化し,確率的な手法に持ち込むアプローチが提案されている[1],[2]。このアプローチは原理的にも興味深く,汎用性という利点もある。しかし,複素積分経路に伴う積分測度からの複素位相の効果がどの程度あるかは,未だ詳しく調べられていない。 H24年度は,Lefschetz thimble 上でのHybrid Monte Carlo 法のアルゴリズムを定式化した。さらに,有限密度下のcomplex λφ^4 模型(BoseGas)についてコードを開発し,L=4の格子上で熱平衡化のテスト,積分測度からの複素位相の評価,物理量の測定を行った。その結果,対称相では,Complex Langevin 法による結果と矛盾のない結果が得られており,アルゴリズムの有効性が確認された。 [1] E. Witten, arXiv:1001.2933 [hep-th]. [2] Aurora Science collaboration, Phys.Rev. D86 (2012) 074506. arXiv:1210.8026[hep-lat]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H24年度に定式化した,Lefschetz thimble 上のHybrid Monte Carlo 法アルゴリズムは,これまでに知られていない,新しいものであり,このアルゴリズムに基づいて,有限密度のcomplex λφ^4 模型についてコードを開発し,L=4の格子上でテストした結果,対称相ではComplex Langevin 法による結果と矛盾のない結果が得られたことは,重要な成果であると考えられる。今後,非対称相でのアルゴリズムの有効性が検証されれば,実用性も確立されると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,より大きなサイズの格子上でシミュレーションができる様に,Lefschetz thimble 上のHybrid Monte Carlo 法のコードの開発を行う。特に,GPUクラスタ用の実装を目指す。これによって,特に,complex λφ^4 模型の8^4~12^4 サイズの格子上でのシミュレーションを行い,積分測度からの複素位相の体積依存性を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に見込まれる経費には,国際会議参加,成果発表のための旅費,滞在費,および計算機使用料がある。研究費は主としてこれらに利用する計画である。
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