2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大川 祐司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (10466823)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 弦の場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の飯森氏、野海氏、鳥居氏との共同研究を契機に超弦の開弦の場の理論の定式化の研究が大きく進展し、Erler, Konopka, Sachs により世界面上の超共形ゴーストセクターの small Hilbert space と呼ばれる状態空間に基づく A∞ 構造を持つ超弦の開弦の場の理論のボゾンを記述する Nevue-Schwarz セクターが構成された。一方、超共形ゴーストセクターの large Hilbert space と呼ばれる状態空間を用いた Berkovits による超弦の開弦の場の理論の定式化は、より大きなゲージ対称性を用いた picture-changing operator に由来する特異性のない定式化であり、今後、フェルミオンを記述する Ramond セクターの定式化の進展に向けて、Erler, Konopka, Sachs の定式化と Berkovits の定式化の関係を理解することが鍵になると考えられる。
今年度、Erler と研究室の大学院生である竹嵜氏との共同研究により、Erler, Konopka, Sachs によって構成された A∞ 構造を持つ作用を Berkovits による定式化で本質的な役割を果たす関係式が現れる形に書き換えることに成功した。これにより Berkovits による定式化での大きなゲージ対称性を部分的に固定して得られる理論と Erler, Konopka, Sachs による定式化の等価性が示され、両者の弦の場の関係も明らかになり、small Hilbert space に基づく Erler, Konopka, Sachs による定式化を large Hilbert space に基づく定式化に埋め込むことも可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Erler, 竹嵜氏との共同研究に基づく研究実績について共著論文を執筆中であるが、私が大学における研究以外の業務で多忙を極めているために論文の完成が遅れている。また、将来的には現在の研究の進展を超リーマン面の超モジュライ空間の分割の観点から理解することが重要になると考えられるが、その方面での東京大学大学院理学系研究科の大学院生である大森氏との共同研究に関しても私が多忙であるために論文の執筆が遅れている。このように研究自体は順調に進展しているが、論文の執筆の段階で時間がかかっているため、次のステップに進むことができず、結果として研究の目的の達成に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の Erler, 竹嵜氏との共同研究に関しては、Erler が東京大学大学院総合文化研究科に滞在して集中的に議論を行ったことが決定的に重要であった。慢性的に研究のための時間が不足している状況で研究を推進するためには、このように共同研究者を招く、もしくは私が共同研究者を訪問することにより、研究のための時間を確保することが効果的であると考えられる。
研究自体は順調に進展しているが、Erler, Konopka, Sachs は Ramond セクターに研究を進めており、今後のさらなる進展が期待される。国際研究会で情報収集し、必要があれば研究の方向性を修正して行く。
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Causes of Carryover |
開催が未定であった平成27年度の弦の場の理論の国際研究会が中国で開催されることになり、その影響で海外の研究者が所属する研究機関を訪問する計画に変更が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開催が決定した中国での弦の場の理論の国際会議に参加する。また、海外の研究者と日程を調整し、海外の研究者が所属する研究機関を訪問するか、もしくは海外の研究者を東京大学に招いて共同研究を推進する。
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