2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺澤 敏夫 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (30134662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 勝晃 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (80399279)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電波パルサー / 相対論的プラズマ / 散乱・回折現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
○巨大電波パルス(GRP)と硬X線・軟X線波長域パルスとの相関の有無の判定:長い間、GRPは電波に限られた現象であって、他波長域のパルスとは相関を持たないと考えられていたが、2003年にかにパルサーの可視光パルスがGRPと同期して3%の増光を示すことが見出され、従来の考えは覆された。我々はまだ増光の判定が得られていない硬X線波長域、およびきわめて緩い増光上限しか得られていない軟γ線波長域について、X線天文学衛星「すざく」の硬X/軟γ線望遠鏡と地上電波望遠鏡群によるかにパルサー同時観測を企画・実行してきた。平成22-23年度に行ったアーカイブデータによる硬X線・電波相関解析に加え、本研究開始後の平成25年度には軟γ線・電波の相関解析を行い、従来より2倍強い軟γ線の増光上限の制限を得ることができた。 ○研究の目的に記した「相対論的群遅延理論・パルス回折理論」の構築のため、新たに多周波地上電波観測(325MHz帯、785MHz帯、1.5GHz帯、2.3GHz帯、6GHz帯、8GHz)を企画・実施し(平成26年6月~9月)、これまでにない広周波数域でのGRPサンプル取得に成功した。結果は現在解析中で、GRPの周波数構造について新たな知見が得られつつある。 ○最近、世界的に注目を集めている現象に、正体不明のFRB(Fast Radio Burst)がある。FRBの可能な解釈の1つは未知の電波パルサーからのGRPとするものであり、本研究の課題とも密接に関連している。他の解釈には、中性子連星合体イベント、強磁場中性子星(マグネター)の巨大フレア起源などとするものがあるが、いずれにしても、観測データの解析手段はGRP検出方法と本質的に同じである。本研究計画の連携研究者ならびにその周辺の電波天文学関係者との情報交換を通じ、日本におけるFRB観測可能性の検討を開始、継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の重要項目として、東北大学飯館観測所におけるかにパルサー325MHz帯電波観測があるが、その実現は原発事故復旧段階に依存するため、申請時には平成25年度以降の実現を期す、としていた。その後、平成26年に観測所の復旧が実現したが、楽観的予想より1年の遅れを生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅れを回復するため、平成27年度にはすみやかに、飯館観測所(325MHz)と情報通信機構鹿島観測所(1.5GHz帯/2.3GHz帯)によるかにパルサー同時観測を実現する。さらに、飯館観測所の2偏波同時観測機能の活用を実現し、パルス信号のS/N改善を目指す。
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Causes of Carryover |
先にも述べたように、研究計画が遅れたのは飯館観測所の観測再開にとって重要な原発事故復旧に対する見通しがやや甘かったことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にはすみやかに、飯館観測所(325MHz)と情報通信機構鹿島観測所(1.5GHz帯/2.3GHz帯)によるかにパルサー同時観測を実現する。さらに、飯館観測所の2偏波同時観測機能の活用を実現し、パルス信号のS/N改善を目指す。繰越金は、主として、今後の観測により得られる観測データを格納するハードディスク購入代、および成果発表のための国内旅費に充てられる。
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Research Products
(3 results)