2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540264
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20294150)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行列模型 / ラージN繰り込み群 / 標準模型 / モンテカルロシミュレーション / ハイブリッド並列計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
IIB行列模型において3世代の標準模型粒子がいかに出現しうるかを考察した。有限のNから出発してラージN極限をとることによって3世代の標準模型粒子が得られる余剰次元方向の行列の配位を具体的に構成した。 また、行列模型におけるラージN繰り込み群を研究した。IIB行列模型において、宇宙の時間発展における後の時刻を見るには、行列サイズNを大きくする必要があるが、実際の数値シミュレーションではこれを実行するのは厳しい。ラージNの繰り込み群によって、小さなNで後の時刻が見ることができれば有用である。ここでは、フェルミオン行列と空間方向の行列の結合を無視してIIB行列模型を簡略化した模型(VDM模型)を考え、ラージN繰り込み群が確かに成立することを見るとともに、この模型は3+1次元の指数膨張する宇宙と解釈される振る舞いを示すことを見出した。 さらに、フェルミオンを落として簡略化したボゾニックIIB行列模型について、ハイブリッド並列化したコードを書き、京スーパーコンピュータ上でモンテカルロシミュレーションを行った。大きな行列サイズでのシミュレーションを実行することにより、インフレーションに相当する指数関数的膨張をする3+1次元宇宙から、輻射優勢期に相当する冪則的膨張をする3+1次元宇宙への転移を見ることができた。トーイ模型なので、e-folding数は十分ではないが、元の模型では十分なe-folding数が得られ、ビッグバンを経て、冪的膨張への転移が見られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までに研究したラージN繰り込み群の手法と開発したハイブリッド並列計算を組み合わせることにより、IIB行列模型のダイナミクスを調べる基盤ができた。また、標準模型がどのように現れるかを考察したことにより、行列模型の解析結果と実験・観測とを合わせる基盤ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
繰り込み群の手法をIIB行列模型に適用する。また、ボゾニック模型では成功したハイブリッド並列計算に対応したIIB行列模型のモンテカルロシミュレーションのコードを開発する。これと、繰り込み群の手法と合わせて、大きな行列サイズでのモンテカルロシミュレーションを可能にする。これにより、インフレーション、ビッグバンなどが行列模型からダイナミカルに得られるかを探求する。さらに、IIB行列模型において標準模型のmatter contentが得られる行列配位で湯川結合を求めた上で、ここで得られるプランクスケール近傍での場の理論を繰り込み群により調べ、実験と合わせることを目標とする。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、IIB行列模型を簡単化したボゾニック模型のハイブリッド並列計算によるモンテカルロシミュレーションを行い、指数関数的膨張から冪則的膨張への転移を見る研究を遂行したが、スーパーコンピュータの混雑などが原因でシミュレーションの進行に少し遅れがでた。このため、研究成果を国際会議などで発表することを控えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ボゾニック模型のモンテカルロシミュレーションによる研究成果を国際会議および学会で発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(11 results)