2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホログラフィックQCD模型を用いた有限密度QCDの探究
Project/Area Number |
24540266
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 正康 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40311716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カイラル対称性 / ホログラフィック模型 / 有効模型 / 核物質 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 核子場を含むホログラフィックQCD模型で、核子に対する平均場を導入する手法を提案しました。そして、核子の有効質量が、核物質中で密度の増加に伴って減少することを示しました。 (2) ホログラフィック模型にアイソスピン化学ポテンシャルを取り入れた解析を行い、パイ中間子凝縮の存在がカイラル対称性の破れを増強することを示しました。さらに、核子の効果を取り入れた解析を行い、パイ中間子凝縮相への相転移が、核子がない場合に比べて大きなアイソスピン化学ポテンシャルで起こることを示しました。 (3) ホログラフィックQCD模型から、低エネルギーハドロン有効模型のパラメータを決める手法、及び、核子をその模型のソリトン解として記述する手法を整備しました。 (4) 上記で得られるソリトン解にスキルム・クリスタル手法を用いて核物質を記述する模型を発展させました。そして、高密度核物質では、ハーフスキルミオン相と呼ばれる新しい物質相が存在することを確認すると共に、より高密度ではカイラル対称性が回復する可能性を指摘しました。また、低密度領域では核子の有効質量は密度の増加に伴って減少すること、及びハーフスキルミオン相では密度に依存せず一定になることを見いだしました。さらに、ハーフスキルミオン相では、凝縮が空間的な周期性を持って増減を繰り返しており、他の有効模型で得られているカイラル密度波との類似性があることを明らかにしました。 (5) 上記のハーフスキルミオン相のようにカイラル凝縮が空間的な周期性を持って増減を繰り返す相における、チャームクォークを含むD中間子の質量スペクトルを解析しました。スピン・アイソスピンが異なる中間子間に混合が起こること、及び、擬スカラー・ベクトル型D中間子と、スカラー・軸性ベクトル型D中間子の質量が縮退することを示しました。また、この質量変化のクォーク模型を用いた理解を示しました。
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Research Products
(13 results)