2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 直樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80462191)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は重力波の初検出イベントGW150914を受けたブラックホール連星の研究、および初期宇宙起源の背景重力波探査法の研究を進めた。これら二つの研究概要を以下に順に述べる。 2015年9月14日、LIGO干渉計2台が強い重力波信号GW150914を検出した。データ解析の結果、約36太陽質量と約29太陽質量の2つのブラックホールが合体したことが確認された。これは初の重力波直接検出という歴史的快挙であるとともに、連星ブラックホールが存在することを示す初の観測であった。一方、確認されたブラックホールの質量は事前に想定されていたものと比べてかなり重く、このようなブラックホール連星の形成過程について新たな関心も引き起こされている。現在のところ、有力と考えられている形成シナリオは二つある。一つはブラックホールのもとになった大質量星が連星として誕生し、進化したというもの、もう一つは高密度の星団中で力学的な過程を経て大質量ブラックホール連星が形成されたとするものである。私は低周波領域でブラックホール連星を観測することにより、これらのシナリオを区別できる可能性のあることを指摘した。具体的には計画中のeLISAを取り上げ、どのような周波数帯で、どの程度の連星が検出できるか?どの程度の残留離心率を計測できるか?といった基本的な側面を明らかにした。 前また、今年の前半には背景重力波のライン探査法の可能性をデータ解析面から検討した。その結果、従来の背景重力波探査法では、ライン重力波を取り逃がす可能性があること、そしてどのような解析法が有効であるかを明らかにした。
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