2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540272
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
波場 直之 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00293803)
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Keywords | ダークマター / LHC、ILC実験での検証可能性 / バリオン数生成 / レゾナントレプトジェネシス / ニュートリノ / パリティの破れ / 余剰次元理論 / ニュートリノフィリックヒッグスダブレット |
Research Abstract |
本研究の目的は、素粒子の標準模型の背後にある新しい物理(new physics)の探求を、 模型構築や独創的な視点で行い、LHC・ILC実験でどの様に観測されるかを解析することである。この目的のための研究計画をたて研究を行い、今年度は主に以下の研究実績が得られた。 1.一般に、超対称理論ではQCDでパリティが破れるが、実験で未観測である。そこで、メソンにおけるパリティの破れの実験的制限から、超対称性粒子の質量に対する制限を求めるのに成功した。また、LHC実験においてトップ対生成断面積のヘリシティ依存性を観測することで、ワープした余剰次元理論が検証できる可能性を示した。 2.宇宙初期のバリオン生成の仕組みの有力な可能性として、レプトジェネシス機構がある。特に、レゾナント・レプトジェネシスと呼ばれる機構では、加速器実験での検証の可能性がある。しかしながら、この機構では、右巻きニュートリノの質量間に9桁ものチューニングを要してしまう。そこで、ニュートリノ・フィリック・ヒッグス・ダブレット模型の枠組みでレゾナント・レプトジェネシスを解析し、質量間のチューニングが4桁ですむことを示した。 3.ニュートリノの質量や世代間混合の間に、量子補正に依存しない繰り込み群不変量があることを示し、加速器実験で到達不可能な高エネルギー領域における物理量を研究できる可能性を証明した。 4.標準模型をゲージ結合定数の統一やダークマター等の問題を解決するミニマムな拡張をした模型を構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初めの研究計画が順調に進んだことに加えて、LHC実験であたらに観測されたデータを元にした研究プロジェクトも遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もLHC実験か示す新しいデータを取り入れて、新しい模型の開発や、独創的な視点での超対称性理論や余剰次元理論の解析をおこなう。また、ヴァイセップ等の宇宙観測実験の結果も取り入れて初期宇宙の新しいインフレーション模型に取り組んでいく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ハワイ大学のTata教授、マックスプランク研究所(ハイデルベルグ)のLindner教授との研究打ち合わせを行う予定であったが、双方の予定があわず、次年度に延期したため。 ハワイ大学のTata教授、マックスプランク研究所(ハイデルベルグ)のLindner教授との研究打ち合わせを行う。
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Research Products
(17 results)