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2012 Fiscal Year Research-status Report

電子・陽電子プラズマ中の相対論的無衝突衝撃波と粒子加速の運動論的研究

Research Project

Project/Area Number 24540277
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

加藤 恒彦  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90413955)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords衝撃波 / 粒子加速 / プラズマ
Research Abstract

本年度の研究では、プラズマ粒子シミュレーションのコード開発・最適化、および、それを用いた無衝突衝撃波の形成過程と粒子加速過程のシミュレーションを行った。
まず、シミュレーションコードについては、本研究課題を行うに際して新たに1から開発を行った。これまでSX9等のベクトル型スーパーコンピュータを主に使用してきたが、本研究では、より大規模な計算に適した、多ノードの並列コンピュータを使用することとし、それに最適化したコードの開発を行った。こうしたコンピュータにおける大規模なプラズマ粒子シミュレーションでは、主にメインメモリのアクセス時間が計算時間の大部分を占めることを考慮し、メモリアクセスがなるべく少なくなるように最適化を行った結果、従来の数倍の計算速度を実現できた。
次に、開発したシミュレーションコードを用いて、電子陽子のプラズマについて、無衝突衝撃波と粒子加速のシミュレーションを行った。その結果、衝撃波遷移層で反射される陽子ビームにより、衝撃波の前面で大振幅の電磁波動が励起されることがわかり、その波動との相互作用によって、陽子だけでなく電子についても粒子加速が衝撃波遷移層付近で働くことがわかった。これは、宇宙線の起源を解明する第一歩として重要な意義があると考えられる。引き続いて、電子陽電子の相対論的衝撃波についても同様の計算を実行している。
また、上記の研究において、プラズマ粒子シミュレーションでは、加速された粒子がプラズマ中を伝搬する際にエネルギーを失っていくことが明らかになった。エネルギーの減衰率はシミュレーションに使用する粒子数に依存し、粒子数が少ないとエネルギー減衰率は大きくなることがわかった。したがって、十分高エネルギーまでの粒子加速を扱うためには、その加速のタイムスケールよりもエネルギー減衰のタイムスケールが長くなるように、使用する粒子数を選ばなければならない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新規開発したコードでは、メモリアクセスの最適化のため、シミュレーション領域を細分化し、それぞれの小領域で粒子をやり取りする方法を導入したが、そのための試行錯誤やデバッグ、および最適化に時間がかかったため、実際の計算に着手するのが当初予定よりも遅くなった。また、「研究実績の概要」に述べたように、実際に粒子加速が起きる状況でも、使用する粒子数が少ないために粒子加速が十分に起こらないことがあり、不十分な粒子数での計算を何件か行ってしまった。年度後期では、初めて学部の演習の授業を担当し、その準備に予想以上に時間を取られてしまった。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度前期に、国立天文台のスーパーコンピュータXC30の利用申請が採択されたので、新規開発したコードをまずこのシステムに最適化し、これを用いて大規模計算を実施する。粒子加速機構については、加速された粒子のヒストリおよびそれに関係する電磁場の変動を詳しく調べ、その定性的な物理機構を明らかにし、加速の理論的モデルを構築することを目指す。また、作られる加速粒子の量など、定量的な見積もりも行う。
シミュレーションで用いる粒子数が少ない場合に加速粒子がエネルギーを失っていく問題は、より高エネルギーまでの加速を調べたい場合に障害となる。この解決策として、例えば(1次元の場合には)、プラズマの低エネルギー成分はブラソフ方程式を用いて解き、高エネルギー成分は粒子として扱う、等の方法についても、検討を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

大規模なシミュレーションを行うと、1回の計算でも、その出力データのサイズは数TBに達するため、外付けの記録用ハードディスクを1つ、あるいは複数購入予定である。また、データの解析に役立つハードウェア・ソフトウエア等があれば購入を検討する。そのほか、会議発表用の旅費や、論文出版費等に研究費を使用する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 準平行衝撃波での電子と陽子の加速2013

    • Author(s)
      加藤恒彦
    • Organizer
      日本物理学会第68回年次大会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      20130329-20130329
  • [Presentation] 無衝突衝撃波での電子と陽子の加速2012

    • Author(s)
      加藤恒彦
    • Organizer
      第25回理論懇シンポジウム
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場
    • Year and Date
      20121222-20121224
  • [Presentation] 高マッハ数の準平行無衝突衝撃波でのイオン加速2012

    • Author(s)
      加藤恒彦
    • Organizer
      日本天文学会2012年秋季年会
    • Place of Presentation
      大分大学
    • Year and Date
      20120921-20120921

URL: 

Published: 2014-07-24  

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