2013 Fiscal Year Research-status Report
電子・陽電子プラズマ中の相対論的無衝突衝撃波と粒子加速の運動論的研究
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24540277
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 恒彦 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90413955)
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Keywords | 衝撃波 / 粒子加速 / プラズマ |
Research Abstract |
本年度の研究では、国立天文台のスーパーコンピュータXC30用に最適化したプラズマ粒子シミュレーションコードの開発、およびそれを用いた無衝突衝撃波の形成過程、粒子加速についての研究を行った。 シミュレーションコードについては、前年度から引き続いて開発を行い、XC30用に並列化実行に適したコードを作成し最適化した。次に、それを用いて、前年の計算をさらに3倍程度にした大規模計算を行い、衝撃波の形成および粒子加速について研究した。そして、初期状態で準平行に近い衝撃波であっても、加速粒子によって衝撃波上流に励起される磁気流体波が卓越してくると衝撃波自体の構造は垂直衝撃波に近くなることや、ほとんどの加速粒子の運動は拡散的ではなく、衝撃波の往復は主に衝撃波面付近でのジャイロ運動により決まっていること、電子については、上流の波の振幅が特に弱くなった時にしか加速されない事などを明らかにした。電子・陽電子プラズマ中の相対論的な無衝突衝撃波についても、主に磁場が垂直の場合に計算を行い、その散逸過程や、衝撃波面での電磁波の放射などについて調べている。 また、プラズマ粒子シミュレーションでは、使用する超粒子の数が少ないと高エネルギー粒子のエネルギーロスが顕著になり、そのエネルギー減衰率は電子表皮長あたりの超粒子数に反比例することや、シミュレーションの次元による依存性などについて明らかにした。この結果は論文としてまとめており、現在投稿中である(arXiv:1312.5507)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年の遅れや粒子のエネルギーロスの問題への対処法の研究などもあり、全体としては当初予定より少し進行が遅れているが、使用するXC30用のシミュレーションコードはほぼ完成したので、今後は順調に進行するものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き本年度も国立天文台のスーパーコンピュータXC30の利用申請が採択されたので、これを用いて衝撃波形成および粒子加速の大規模計算を進めていく。また、プラズマが相対論的なエネルギーの場合のエネルギーロスの問題についても昨年度と同様の観点から調べていく。 研究費は、シミュレーションデータの保存に使うハードディスクのほか、シミュレーションコードの開発やシミュレーションデータの解析に使用するソフトウェア、会議発表用の旅費、論文出版費用などのために使用する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーションのコード開発の遅れなどのため、全体として進行が少し遅れている。そのため、外付けハードディスクの購入などの一部を次年度に回した。また、投稿した論文の査読に8ヶ月以上かかっており、本年度中に出版費が必要にならなかった。 外付けハードディスクや、データ解析・可視化に必要なソフトウェア、会議発表用の旅費、論文出版費などに使用する計画である。
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